- 9 / 55 ページ
素直になれなくて、ごめんね。
<よっ。今日も天気いいし、ドライブでも行かない?>
<わあ。ほんと、あったかいよね>
つかの間の休息時間に、琢磨君からのラインが入る。
どうしよう・・・。
今、大ちゃんお稽古中だし・・・。
それでも、返事をしないことには、不義理になるかと思って。
<じゃあ、お仕事終わったら、連絡します>
<楽しみに、待ってる>
なんてやりとりで、終った。
舞台挨拶を終えて、15時過ぎに会場をでる。
事前に連絡しておいたので、現地まで車で迎えにきてくれている琢磨君。
「まお。おつかれ~~。」
「ごめんなさい。待たせちゃって。」
ニコニコとしながら、僕よりも先輩なのに、嫌な顔ヒトツせずに待っていてくれる。
「いいよ。こっちが急に誘ったんだし。」
「せっかくのお天気なのに、助手席に乗るのが僕でごめんなさい。」
ぺこり。と頭を下げると、不思議そうに琢磨君が首をかしげる。
・・・あ。そりゃそうだよね。誘ってもらったんだもん。
「・・・まおだから、誘ったんだけど?」
「あはっ。そうですよね。」
もちろん、彼女とのデートではないので、二人が揃う目的と言えば、もちろんゴルフの打ちっぱなし。
か~ら~の~飲み会。とコースは決まっている。
どうしよっかな・・・・。
大ちゃんの晩御飯・・・。
きっと、通し稽古で、ぐったりと疲れて帰ってくるのだ。
自分ばっかりが遊んでいるのもなんだか申し訳ない。
・・・なんて、ぐるぐると思考を巡らせていたのだけれど。
車に乗り込んで向かった先は、本当に海岸線をぐるり。とめぐって地平線に落ちる夕日を眺めるだけのドライブだった。
「わあああ。綺麗だねええ。」
「喜んでもらえて、よかった。」
ゆっくりと沈んでゆく夕日が、キラキラと波に反射して茜色に染まる。
途切れた雲の隙間から、すうっと幾筋もの光が漏れて、とっても幻想的だ。
そんな光景に見とれていると、唐突に琢磨君が話しかけてくる。
「なあ。まお。無理してない?」
「・・・え?何が?」
「自分のことで、手いっぱいなのに、大ちゃんのことまで気を遣ってさあ。
真面目なまおの性格だから、手抜きできなさそう。」
「・・・そんなこと、ないと思う。」
・・・うん。むしろ、守られてばっかりで。
大ちゃんのほうが、子供を一人抱えているみたいで責任感いっぱいなんじゃないかな。
大好きで、大好きで、どうしようもないぐらい、大好きで。
・・・なのに、最近は忙しすぎて、ゆっくりと雑談を交わす暇もない・・・・。
どんどん高みへと登ろうとしている大ちゃん。
大きくて、頼もしい背中。
まぶしいぐらいの存在---------。
おれは、大ちゃんの荷物になってないだろうか。と時々ふと思ってしまう。
愛しているよ。と毎日告白してくれて。
まおが卒業するなら、これで堂々としてられるな。
なんて、買ってくれたティファニーのリング。
もちろん、指にはめる勇気なんてなくって、こっそりとポケットの中に忍ばせてあるんだけど。
「まおが思っている以上に、本気だかんな。」
何度も、真剣な眼差しで、そう言わせてしまったっけ・・・。
愛している気持ちは、きっと同じなのに。
自分に対する自信のなさが、そんなふうに感じさせてしまうのかもしれない。
好きになればなるほど、もしかしたら・・・・。
ってありもしない可能性。を考えてしまって不安になって。
当たり前、と言えば、当たり前なんだけど、
大ちゃんの結婚したいやら、子供ほしいやら発言に対する
彼女いるんですか?疑惑に寄せられる反響が・・・。
こんなにも、大ちゃんのことを愛しているファンの方々に、自分でごめんなさい。って気分になる。
幸福な家庭を作ってあげられる素敵な女性じゃなくて。
「・・・まお、最近しんどそう・・・。」
「・・・えっ。そんなこと、ないと思うけど。」
いけない。物思いにふけってしまっていた。
「単純に、仕事忙しいからね~~。」
「ちゃんと、大ちゃんと話せてる?」
「うん。話してるよ?フツーに。」
「でも、俺だったら、そんな寂ししそうな顔はさせないけどな・・・。」
ハンドルを握ったまま、ポソリ、と独り言のようにつぶやかれた言葉は、最期まで聞き取ることができない。
「・・・え?」
「ああ。いや。何でもない。」
慌てて視線をやった先には、いつもと同じように穏やかかな表情の横顔だった。
「・・・さて。気分転換できた?」
「・・あ。うん。」
「大ちゃん、待ってるんだろ?」
「・・・あはっ。バレてました?」
結局、大ちゃんのマンションまでそのまま送り届けてくれて、ゴルフの打ちっぱなしにも、
飲みにも誘われなかった。
なんで誘ってくれたのかなー・・・・。
本当に、心配して気分転換させてくれたのかな??
やっぱ、優しいなあ。琢磨君。
<わあ。ほんと、あったかいよね>
つかの間の休息時間に、琢磨君からのラインが入る。
どうしよう・・・。
今、大ちゃんお稽古中だし・・・。
それでも、返事をしないことには、不義理になるかと思って。
<じゃあ、お仕事終わったら、連絡します>
<楽しみに、待ってる>
なんてやりとりで、終った。
舞台挨拶を終えて、15時過ぎに会場をでる。
事前に連絡しておいたので、現地まで車で迎えにきてくれている琢磨君。
「まお。おつかれ~~。」
「ごめんなさい。待たせちゃって。」
ニコニコとしながら、僕よりも先輩なのに、嫌な顔ヒトツせずに待っていてくれる。
「いいよ。こっちが急に誘ったんだし。」
「せっかくのお天気なのに、助手席に乗るのが僕でごめんなさい。」
ぺこり。と頭を下げると、不思議そうに琢磨君が首をかしげる。
・・・あ。そりゃそうだよね。誘ってもらったんだもん。
「・・・まおだから、誘ったんだけど?」
「あはっ。そうですよね。」
もちろん、彼女とのデートではないので、二人が揃う目的と言えば、もちろんゴルフの打ちっぱなし。
か~ら~の~飲み会。とコースは決まっている。
どうしよっかな・・・・。
大ちゃんの晩御飯・・・。
きっと、通し稽古で、ぐったりと疲れて帰ってくるのだ。
自分ばっかりが遊んでいるのもなんだか申し訳ない。
・・・なんて、ぐるぐると思考を巡らせていたのだけれど。
車に乗り込んで向かった先は、本当に海岸線をぐるり。とめぐって地平線に落ちる夕日を眺めるだけのドライブだった。
「わあああ。綺麗だねええ。」
「喜んでもらえて、よかった。」
ゆっくりと沈んでゆく夕日が、キラキラと波に反射して茜色に染まる。
途切れた雲の隙間から、すうっと幾筋もの光が漏れて、とっても幻想的だ。
そんな光景に見とれていると、唐突に琢磨君が話しかけてくる。
「なあ。まお。無理してない?」
「・・・え?何が?」
「自分のことで、手いっぱいなのに、大ちゃんのことまで気を遣ってさあ。
真面目なまおの性格だから、手抜きできなさそう。」
「・・・そんなこと、ないと思う。」
・・・うん。むしろ、守られてばっかりで。
大ちゃんのほうが、子供を一人抱えているみたいで責任感いっぱいなんじゃないかな。
大好きで、大好きで、どうしようもないぐらい、大好きで。
・・・なのに、最近は忙しすぎて、ゆっくりと雑談を交わす暇もない・・・・。
どんどん高みへと登ろうとしている大ちゃん。
大きくて、頼もしい背中。
まぶしいぐらいの存在---------。
おれは、大ちゃんの荷物になってないだろうか。と時々ふと思ってしまう。
愛しているよ。と毎日告白してくれて。
まおが卒業するなら、これで堂々としてられるな。
なんて、買ってくれたティファニーのリング。
もちろん、指にはめる勇気なんてなくって、こっそりとポケットの中に忍ばせてあるんだけど。
「まおが思っている以上に、本気だかんな。」
何度も、真剣な眼差しで、そう言わせてしまったっけ・・・。
愛している気持ちは、きっと同じなのに。
自分に対する自信のなさが、そんなふうに感じさせてしまうのかもしれない。
好きになればなるほど、もしかしたら・・・・。
ってありもしない可能性。を考えてしまって不安になって。
当たり前、と言えば、当たり前なんだけど、
大ちゃんの結婚したいやら、子供ほしいやら発言に対する
彼女いるんですか?疑惑に寄せられる反響が・・・。
こんなにも、大ちゃんのことを愛しているファンの方々に、自分でごめんなさい。って気分になる。
幸福な家庭を作ってあげられる素敵な女性じゃなくて。
「・・・まお、最近しんどそう・・・。」
「・・・えっ。そんなこと、ないと思うけど。」
いけない。物思いにふけってしまっていた。
「単純に、仕事忙しいからね~~。」
「ちゃんと、大ちゃんと話せてる?」
「うん。話してるよ?フツーに。」
「でも、俺だったら、そんな寂ししそうな顔はさせないけどな・・・。」
ハンドルを握ったまま、ポソリ、と独り言のようにつぶやかれた言葉は、最期まで聞き取ることができない。
「・・・え?」
「ああ。いや。何でもない。」
慌てて視線をやった先には、いつもと同じように穏やかかな表情の横顔だった。
「・・・さて。気分転換できた?」
「・・あ。うん。」
「大ちゃん、待ってるんだろ?」
「・・・あはっ。バレてました?」
結局、大ちゃんのマンションまでそのまま送り届けてくれて、ゴルフの打ちっぱなしにも、
飲みにも誘われなかった。
なんで誘ってくれたのかなー・・・・。
本当に、心配して気分転換させてくれたのかな??
やっぱ、優しいなあ。琢磨君。
更新日:2014-04-26 22:25:46