• 1 / 2 ページ



「まあたこの店は客一人だけかいなー」と山ちゃん。
「ほっとけや」とタケジ。
「しっかしヒロジもよう飽きひんなー」
「ほっとけや」とヒロジ。
「今寄って来た店パンパンやったでー」
「他所は他所!おかんも言うてたやろ」とタケジ。
「ほんで人通りもめっちゃあったでー」
「要らん報告!いっつも言うてるやろ」とタケジ。
「入口に三本足の蛙の置物でも置きー」
「中国か!」呆れタケジ。
「商売繁盛の縁起物で内に向けんねん」説明ヒロジ。
「ついでに背中に子蛙五匹乗っけろー」
「六カエルで客を迎えると掛かんねん」説明ヒロジ。
「そん位しやんとこの店は無理やろー」
「おい!」たまらずタケジ。
「やっぱ招き猫派かー」
「風水なら東南に龍や」更にヒロジ。
「俺がそんなんやり出したらぁ、本っ気で注意してくれ!」

商店街から路地を入った地下にTHE瀧川はある。
八席しかないカウンターで今日も馬鹿話の最中だ。

「この前ヒロキ見たでー」
「バッターやな。和歌山出の小久保裕紀」とタケジ。
「ピッチャーや。住之江区出の黒田博樹」とヒロジ。
「タケジが前に振られたー」
「また古い話を。ほんで呼び捨てかい!」
「女やったんか。ほんでどこで見たん?」
「例の百貨店の売り場でやー」
「彼女の職場や」
「ほな居るやろ」
「ちょっと出世やっとったぞー」
「それ聞いて俺は何て言えばええねん!」
「分かるでタケジ。それは要らんやつや」

更新日:2014-02-21 06:12:52

  • Twitter
  • LINE
  • Facebook