• 10 / 115 ページ

夢であれ・・。 (2014,1,19)







 終った・・・・。







 最後の、本当に最後の、挨拶を終えて・・・




 僕はもっくんに支えられながら、ステージを終えた。










 先に、ステージからはけた仲間が僕を優しく見つめ




みんなが拍手で僕を迎えてくれる。







 きっと、まだ客席に残っているファンのみんなにも




聞こえているんだろう、会場からも拍手と嗚咽が聴こ




えてくる。







 もう涙が止まらない。




 手足が震えて、仲間に囲まれ、抱きしめられ、僕は




声を出して泣いていた。




 何度も何度も、僕の名前を呼んでくれる仲間、そして




ファンの声。




 いつまでも、すっとその中にいたいとそう思ったその時










 「よおし!・・みんな!」、僕の横でもっくんが叫んだ。







 「おお・・」、声を出したみんなは一斉に並びだし、




そこに花道を作り始めた。







 今まで一緒に板の上にいた仲間、そして、スタッフ、




関係者が、わらわらと動き回りみんなが僕を見つめる。







 「いくぞ!」、もっくんが僕の背中をポンと押す。







 「。。うん。。」、声にならない返事をして1歩を踏み出す。







 一人づつ、しっかりと握手をして、ハグをして、頭を撫でて




くれる人、ポンっと叩く人、いつまでも離さないのは玲さん。




 もっくんが、僕を支えながら、一人ひとりお別れをする。







 スタッフは、もうみんなグズグズに泣いてる。




 演出関係の皆さんまで、並んでくれて・・・・。




 僕は、もう、自分の足で進めないほど、ぼろぼろに




泣いていた。







 「大丈夫か、まお・・・。」、もっくんが僕の耳元で言う。




 「うん。。。」、僕が必死に声を出すと、




 「じゃあ、振り返ってみんなに挨拶しよう・・」、っと




僕を振り返らせた。










 そこには、今まで僕と戦ってきた仲間達、スタッフが




優しく僕を見ていた。







 「ありがとう・・・ございました。僕の、僕の我儘で・・




僕の最後が・・この舞台で、本当によかった。」、




 もう、それしか出なかった。




 ただ、僕はひたすら頭を下げて、何度も何度もありがとう




と、言い続けた。







 次々に拍手が起こり、僕はそこにいる皆を一人一人




見つめた。




 頷き、手を振り、お道化る者、Vサインや、投げキッス。




 その一つ一つを、しっかり胸に刻み込む。







 すると、みんなの拍手が止んだ。







 そして、その視線が僕ではなく、僕の後ろに集まった。







 「まお・・・」、もっくんがそっと、僕を振り向かせる。










 そこには、大きなマスクをして、ニットの帽子を深くかぶり




手には大きな花束を持った、僕の・・・







 僕の大好きな、その人が立っていた。







 ゆっくりと帽子を脱ぎ、そしてマスクを外す。







 その唇が、  ま・お・っと、動いた瞬間、







 僕はそこに向かって走り出していた。







 バフっと、その胸に飛び込むと、一斉に上がる仲間の




歓声!!、拍手。







 僕は、声を上げて泣いた。




 ただ、ひたすら泣き続けた。







 僕の大好きなその人は、ただ、そっと背中をさすって




くれていた。





 

更新日:2014-02-20 15:34:19

  • Twitter
  • LINE
  • Facebook