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小説

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私は早く死にたいです。
齢七つを数えたばかりの若輩者で恐縮ですが、私は早く死にたいのです。

理由は何かと問われても、明確にこれだというものを列挙することが出来ません。何故ならばあまりにも多過ぎるからです。妥当なものを挙げるとするならば、両親の不和、学校での孤独とかそんなものでしょうか。死ぬ為に生きていく、という世界の仕組みの矛盾に付き合うことに疲れたので、出来るなら早く繰り上げてほしいなという気持ちも強いかもしれません。

こういうことを口にすると叱られ、それでも口にすれば病院に連れて行かれそうになることを学習したので、私は日々貝のように生きています。ああ貝。私が本当に貝だったのなら、ぷくぷく泡を出しているところを網で掬われ、茹でられて絶命し、回転寿司かどこかの安いあさり汁で幸せそうに浮かんでいられたのに、と最近よく思います。誰かの胃袋を満たし、その糧となれるのだから人間よりよっぽど偉いです。凄いです。

私は早く死にたいので、お手軽に死ねる方法をのんびり集めています。人間の半径三メートル以内には大抵死ねる道具がありますが、それがなかなか死ねないのです。その気になればはさみや先割れスプーンでも死ねるわけですが、正直痛いのは嫌です。注射も嫌いです。
今の所最有力なのは練炭自殺です。材料はだいたい家の中と物置にあるので、とりあえずはいつでも実行可能です。それと百合の花で自殺なんてものもあるそうです。なんだかロマンチックですね。首吊りは上手に出来ればすっきり死ねるらしいのですが、何しろ私は七つですので結構な軽さです。吊れない可能性があります。失敗した時の後遺症が危険ですし、何より首が伸びてしまうのはちょっといただけません。糞尿を垂れ流す、というのはこの際目をつぶりましょう。排泄物が出てしまうのは仕方のないことです。

いつでも死ねるじゃないか、と思われるかもしれませんが、実はそうではないのです。お葬式の費用を工面しなければいけません。死にたいなら死ぬで結構ですが、なんの準備もせずに勝手に死ぬなんて周囲に迷惑千万です。周囲を呪って死ぬにしてもお葬式代くらいは残しておくのが当たり前です。でなければ渋々生きるしかないのです、今の私のように。

お葬式の費用を集める。これは小学生には大変な作業です。何しろ働くことが出来ないのですから。最近の小学生は金を持っているなどと言われていますが、私の月のお小遣いは500円です。無い時もあります。そしてその半分は愛読している少女漫画誌に吸い取られるので、これはもう大変です。臨時収入であるお年玉も両親にさりげなくコントロールされているので、このペースだと死ぬ費用を工面するまで大分かかりそうです。ああ、高校生になれば働くことができるというのに、そこまで生きていたくないというジレンマ。

お葬式の費用はざっと見積もって十五万ですが、これは直葬だった場合です。遺書を残しても両親は盛大にお葬式をしておいおいと被害者ぶるでしょうから、百万くらいはみておきたいです。そして家で死ぬにしても不動産、樹海か何処かで死ぬにしても地域住民の皆様に迷惑がかかります。それを考えると迷惑料としてさらに百万ほど上乗せしなければなりません。現在その一割も溜まっていません。眩暈がします。

更新日:2014-01-03 19:33:35