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君とつながる糸の色~番外編*~


『...あっ』




ある、休日の駅前。


壁に寄りかかって、
スマホをいじる彼が


──直人が、いた。




「...よ」




黒地にロゴのTシャツ。

袖口と襟は、チェックのシャツ型で
重ね着みたいなデザイン。


下は七分丈のジーンズで

至ってラフな格好なのに




『お、はよござます』


「ござますw」




私服を見るのは初めてだからか

あたしが浮かれすぎてるのか


どっちかなんて、わかんないけど



いつもの何倍も
かっこよく見えた。




「....おいってば
 聞いてます?人の話」


『え、あ、なんですか』


「なんでしょーね」




その言葉で
ふいに顔を上げた。


目が合う直人は

意地悪な表情をしていて




『......もーすいませんでした!!』




その、余裕な感じと

恥ずかしさがごちゃ混ぜになって


ふて腐れながら言い捨てる。




「ん」




短い言葉と同時に差し出すのは

これから乗る電車の切符。




『え、これ』


「誰かさんが遅いから
 その間に買っといた」


『待ち合わせ5分前に着いたもん』


「でも10分待ったし?」




ただ単純に、驚いた。


だって、あの直人が?



いつも
チャリ通のくせに遅刻常習犯で

朝弱くて


だから今日だって、
30分は待つ覚悟でいたのに


待ち合わせの15分も前に来てたの?




「いーから早くしろ
 置いてくぞお前」


『ちょ、早い!』




さっさと改札を抜けて、

一人で進む直人を追いかけながら


なんとなく、思い出していた。


そういえば

放送担当だった時、
一回も遅れてこなかったこと。




「走って転ぶなよ?」


『そんな転ばな...わっ!』




つまずいた拍子にバランスを崩して

前のめりになるあたし。


やばいって
そう、察知した瞬間




「...言ったそばからこけるかよ、普通」




力強い腕が

あたしをしっかり抱き止めた。


途端に鼓動が速まって
あたしの思考は停止する。




「何もない所で転ぶとか
 典型的な(笑)」




真っ白な頭に

ただただ響いてる


あたしじゃない
あたしだけじゃない


愛しいくらいに速い心音。




『......直人』


「ん?」


『今日、よく喋るね』


「...うっせ」




あたしを離す腕を

それでもあたしは、
離したくないと思った。


少しだけ熱を帯びた直人の手を

きゅっと握って



握り返された温もりを、
幸せだと思った。




『...直人、緊張してる?』


「別に」


『うん、そっか』




ねえ、直人

ずっと、笑っていようね


この先も




一緒に

























...幸せでいようね。













更新日:2014-02-17 18:07:12

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