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小説

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第五話 帰還

2人は来た道を慌てて引き返していた。

洞窟のあった小さな森を抜けると、沈む寸前の夕日に照らされた草原が広がっている。

そして沈む太陽が最後の強い光を放つと辺りは夜の闇に包まれだした。

少し顔をしかめながらデュランが呟く。

「ちっ!太陽が沈んでしまったか…」

その呟きに対して不安そうにユラトは答える。

「まずいね…さっきの雄たけびは何だったんだろう…」

「ダイアーウルフも覚悟しなきゃならんかもしれんな…こりゃあ…」

しばし2人は無言で走っていたが、ユラトは少し何かを考えるとデュランに静かに語りだす。

「デュラン…悪いがマナサーチ使えるか?」

「ん、使えることは使えるが…そうだな…だがもし、狼どもが魔力を感じる事ができるのならマナサーチの魔力でこっちの位置もばれるぞ」

「いや、既に匂いで、ばれてるかもしれないよ?」

「…そうだな、汗もかいたしワイアームの返り血もあるだろうし…こりゃあ、匂いでばれてるな」

「今、戦闘になると悪いけど俺は剣を握るのがやっとだ…しかも、この辺りは草原ばかりで川もないし…匂いを消すことも出来ない…」

「俺もさっきの戦いで投げナイフや煙玉も全部使ってしまったからな」

「向こうが既に、こちらの位置を特定してたらやばいね…」

「ならやはり、使っておくか…奴らの数も分からんしな」

デュランは右手の拳を額まで持ってくると目を閉じ、マナサーチを唱えるため魔法の詠唱を始めた。

「我が体内に宿るマナよ、四散し、魔力を感知せよ!」

更新日:2014-01-05 00:49:21