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敵は左翼に設置された馬防柵のさらに左側、

戦場(フィールド)の上端からデス スターズ陣内になだれ込んでいた。

どうやら手練れの兵をそろえた軍団らしい。

思いのほか陣形は乱され、味方の鉄砲の斉射音には

先ほどから少しずつ遠近と間断が生じ始めていた。

本陣付近から引き離され、【号令】の範囲外で撃っている者がいるのだ。



戦前の評定で告げられたはずの相手の軍団名が

今になって僅かだが気になり始める。

(なんという軍団だったか)

だが、そもそも頭に刷り込んでなどいない、

それに気付いて広八は記憶を探るのをやめた。

どこぞの馬の骨と侮っていたわけではないが

元来、対戦相手の情報には無頓着な性分だった。



攻めかかったのはデス スターズだった。

この戦で自軍は【対戦】側である。



広八達、デス スターズの【エサ忍】は

自陣右翼側、フィールドの下方に進路を取って敵陣に向かったため、

道中で敵の突撃部隊とすれ違うことなく任務の半分を終えると

自操作役である半作の【Aボタン(守備)】指示によって自陣に引き返してきた。



厭な予感はあった。

それはおびきだして連れ戻った敵の守兵の多寡に因るものではない。

敵陣に斬り込んだ際に肌で感じる【釣り】の手応え、が

何とはなしに芳しくなかったのだ。

半作もまた堅牢な陣形が放つ特有の威圧感を嗅ぎとったか、

広八達に下される指示には微細な躊躇が含まれていた。



だがいくら不安を覚えたところで、兵キャラは自操作の指示には逆らえない。

後ろ髪を引かれる思いで半作の【Aボタン】に従った広八は、

必然、自陣左翼で繰り広げられる斬り合いにひとまずは加わるしかなかった。





更新日:2017-06-01 10:28:49