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宿将


枯山水の向こうでひぐらしが鳴いている。


手入れの行き届いた庭園に秋の気配を招き入れる音色は、


どこか哀しげで


もっと「遠く」から


響いてくるようにも聞こえた。





作咲弐年(二〇一三年)八月。


夏の果ての陽射しが染み込んだ回り縁をけたたましく踏み鳴らし、

足音は館の奥へと進んでいった。




更新日:2017-06-05 04:21:52

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