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小説

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天声


・ ・ ・ 嗚呼、・ ・ ・ また、あの声だ ・ ・ ・ 。


耳で「感じる」が如き ・ ・ ・、

頭の中に直に響くが如き ・ ・ ・、

心の臓を穿つかの如き ・ ・ ・、


声 ・ ・ ・。





声が問い、我は答える。





『 汝 の 城 は 落 ち た か 』


見よ、あれに燃ゆるは我が天守。もはや拠り所なし。





『 汝 の 都 は 廃 れ た か 』


百年の栄華もいずれは砂に還る。跡に渡るは風ばかり。





『 汝 の 剣 は 折 れ た か 』


これか。数多の首をあげた銘刀も、ついて立つ用を成さぬ。





『 汝 の 兵 は 斃 れ た か 』


・ ・ ・、





『 答 え よ、 汝 の 後 ろ に 控 え る は 汝 の 手 の 者 か 』


・ ・ ・ いかにも。


我が忠実なる家臣に相違なし。

蹴散らせぬ敵は無く、跳ね返せぬ軍勢も無き、当千のつわものどもぞ。

われがひとたび命ずれば、瞬く間に天下を平らげるであろう。


知らぬ者とて無き我らの名 ・ ・ ・、我らこそは ・ ・ ・、





『 己 が 勇 名 ま で 忘 れ 去 っ た の か 』


・ ・ ・、





『 戦 場 が 汝 を 呼 ぶ 声 が 聞 こ え る か。 こ の わ し の 声 が 』





・ ・ ・ そうであったか。


言に及ばず。聞こえるとも、はっきりとな。





『 な ら ば 起 っ て 戦 え。 汝 の 名 は 彼 の 地 で 聞 く が よ い ・ ・ ・ 』





『 ・ ・ ・ 彼 の 地 に て、 お の の く 敵 の 口 が、 そ の 名 を 讃 え る で あ ろ う ・ ・ ・ 』










更新日:2017-06-03 06:19:02