- 1 / 12 ページ
天声
・ ・ ・ 嗚呼、・ ・ ・ また、あの声だ ・ ・ ・ 。
耳で「感じる」が如き ・ ・ ・、
頭の中に直に響くが如き ・ ・ ・、
心の臓を穿つかの如き ・ ・ ・、
声 ・ ・ ・。
声が問い、我は答える。
『 汝 の 城 は 落 ち た か 』
見よ、あれに燃ゆるは我が天守。もはや拠り所なし。
『 汝 の 都 は 廃 れ た か 』
百年の栄華もいずれは砂に還る。跡に渡るは風ばかり。
『 汝 の 剣 は 折 れ た か 』
これか。数多の首をあげた銘刀も、ついて立つ用を成さぬ。
『 汝 の 兵 は 斃 れ た か 』
・ ・ ・、
『 答 え よ、 汝 の 後 ろ に 控 え る は 汝 の 手 の 者 か 』
・ ・ ・ いかにも。
我が忠実なる家臣に相違なし。
蹴散らせぬ敵は無く、跳ね返せぬ軍勢も無き、当千のつわものどもぞ。
われがひとたび命ずれば、瞬く間に天下を平らげるであろう。
知らぬ者とて無き我らの名 ・ ・ ・、我らこそは ・ ・ ・、
『 己 が 勇 名 ま で 忘 れ 去 っ た の か 』
・ ・ ・、
『 戦 場 が 汝 を 呼 ぶ 声 が 聞 こ え る か。 こ の わ し の 声 が 』
・ ・ ・ そうであったか。
言に及ばず。聞こえるとも、はっきりとな。
『 な ら ば 起 っ て 戦 え。 汝 の 名 は 彼 の 地 で 聞 く が よ い ・ ・ ・ 』
『 ・ ・ ・ 彼 の 地 に て、 お の の く 敵 の 口 が、 そ の 名 を 讃 え る で あ ろ う ・ ・ ・ 』
・ ・ ・ 嗚呼、・ ・ ・ また、あの声だ ・ ・ ・ 。
耳で「感じる」が如き ・ ・ ・、
頭の中に直に響くが如き ・ ・ ・、
心の臓を穿つかの如き ・ ・ ・、
声 ・ ・ ・。
声が問い、我は答える。
『 汝 の 城 は 落 ち た か 』
見よ、あれに燃ゆるは我が天守。もはや拠り所なし。
『 汝 の 都 は 廃 れ た か 』
百年の栄華もいずれは砂に還る。跡に渡るは風ばかり。
『 汝 の 剣 は 折 れ た か 』
これか。数多の首をあげた銘刀も、ついて立つ用を成さぬ。
『 汝 の 兵 は 斃 れ た か 』
・ ・ ・、
『 答 え よ、 汝 の 後 ろ に 控 え る は 汝 の 手 の 者 か 』
・ ・ ・ いかにも。
我が忠実なる家臣に相違なし。
蹴散らせぬ敵は無く、跳ね返せぬ軍勢も無き、当千のつわものどもぞ。
われがひとたび命ずれば、瞬く間に天下を平らげるであろう。
知らぬ者とて無き我らの名 ・ ・ ・、我らこそは ・ ・ ・、
『 己 が 勇 名 ま で 忘 れ 去 っ た の か 』
・ ・ ・、
『 戦 場 が 汝 を 呼 ぶ 声 が 聞 こ え る か。 こ の わ し の 声 が 』
・ ・ ・ そうであったか。
言に及ばず。聞こえるとも、はっきりとな。
『 な ら ば 起 っ て 戦 え。 汝 の 名 は 彼 の 地 で 聞 く が よ い ・ ・ ・ 』
『 ・ ・ ・ 彼 の 地 に て、 お の の く 敵 の 口 が、 そ の 名 を 讃 え る で あ ろ う ・ ・ ・ 』
更新日:2017-06-03 06:19:02