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幸福のチャンス

ここは、みゆや晃達・・・かなたも、通っていた学園

その学園の中心である人物・・・その人が、正しく、かなたの父親である
西園寺宝晶(さいおんじほうしょう)がいる場所だ

事前に、連絡を入れておいたのと、身内であるかなたのお陰で、すんなりあう事が出来た

仕事も、その日は、開けておいてくれたようだ



「学園長先生~お久しぶりです~」
「ほぉ~、これは、これは、みゆちゃん、よう来たの~いや~綺麗になって別嬪だったのが更に磨きが掛かったの~」
「ええ!? そ、そんな事・・・」
ぽっぽっと赤く頬を染めるみゆは、誰が見ようとも可愛く綺麗だ
「親父・・・人の嫁を誉めるのはいいけどだな・・・ナンパみたいに言うの・・・止めろよな・・・」
「あほ、女性は誉めてなんぼじゃろうが、まだまだ、修業が足らんの~我が息子ながら、一著前に背やら変なとこは成長し取るのに・・・わしに嫉妬する様じゃ、まだまだじゃな~」
「!! んのやろ~、てめーで稼いでんだからもう、十分成長してるって」
「馬鹿者、心がまだまだ、半人前だと言っているんじゃ、婚約指輪も贈って、一緒に朝飯だのなんだの共にしていても、心に余裕が無いなど、半人前も同然じゃ」
「ぐっ・・・」
「くすくすくす、やっぱりお父さんだね~しっかり者のかなたが、子供みたい~」
「お、お前な~」
「ほぉほぉ、子供なんぞ、どんだけ成長しようが親にとっては子供じゃよ、さって?
お前さん達は、なにゆえわしに電話くれたんじゃ? 仕事につけんで、まっとったんじゃよ? いい加減言ってくれんと気になるんじゃが?」
「「あ」」
そうだった

「・・・学園長先生にお礼がしたいって思ったんです」
「お礼?」
「はい、・・・かなたと出会わせてくれたお礼がしたいんです」
「・・・」
「かなたと、また巡りあえたの、学園長先生がかなたをここへ呼んでくれたから、私達は今の関係になれた・・・だから・・・」
「俺も、この学園は、苦手意識だったけど・・・大事な場所になった、こいつと出会えた場所だから、だから、ありがとうな? 親父・・・ほれ、酒、上等だぜ?」
「これは、これは、ありがたく頂戴しとくよ・・・ふははは、じゃがな、かなた? お前さんを呼んだのは意図的じゃ」
「「ええ!?」」
「・・・お前さん達はの? 前々から知り合いなんじゃよ?」
「「ええええ!?」」
「・・・みゆちゃんのママさんとかなたの母親・・・瞳は、大親友同士だったんじゃ」
「「え?」」
初めて聞いた事で、2人は、互いの顔を見る
「・・・瞳が癌だったんじゃ、亡くなった時の病気は・・・」
「「・・・」」
かなたは、知っている事だった・・・顔を歪め泣きそうな顔をする
そんなかなたに、気付き、みゆは、その体に抱きつく
「!」
ポン
「・・・」
みゆも、泣きそうな顔をしていて、それに、泣きそうながら堪える笑みをかなたはしている
「・・・みゆちゃんのお母さんもな・・・泣いておったよ・・・」
「「・・・」」
「瞳の棺に泣き付いて、大泣きじゃった・・・」
「「・・・」」
「かなたは、泣かなかったの・・・瞳が亡くなったと知らせを受けてからずっと泣かずに、暗い底が見えない、瞳をずっとしておった」
「「・・・」」
かなたの顔が、悲しそうに歪んで行くのを、みゆは、一生懸命抱きしめていた
一人じゃないと、分かって欲しいと思ったからだ
「・・・」
そんなみゆにも、かなたは、泣きそうになった
「・・・瞳の亡くなった病院で、まゆさんは、出産したんじゃ」
「「!!」」
「その時、かなたも、一緒じゃったんじゃよ?」
「「!!」

更新日:2013-09-21 19:26:21

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