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振り向いて

「ねぇ先輩、愛してます」

「はいはい」

「俺、マジで蘭先輩の事が好きなんです!!」

「分かった分かった」

「もぅ先輩!いい加減真面目に聞いてくださいよ」

「ねぇ、藍くん今は授業中よ?
君もたまには真・面・目に授業に出なさい」


先輩はいつも、俺の告白をはぐらかす。


「嫌です!!」

「嫌ですじゃないわよ、君ただでさえ
そんな見た目で誰も注意しないんだから、自分からちゃんと
授業に出ないと、本当に留年しちゃうわよ」

「じゃあ、俺と付き合ってください」

「じゃあって何なのよ…」


別に先輩を困らせたい訳じゃない。

でも、どうしても振り向いてほしいんだ!

本気で好きな人だから。

「先輩、俺は本気です!!初めて先輩を見たときから
先輩だけが、好きなんです!だから、俺と付き合ってください」

いつもよりも、思いを込めて

ちゃんと先輩の目を見つめながら言う。

「はぁ、もぅこんなたくさんの人が(しかも先生)もいる時に…」

あぁ、またはぐらかされちゃうんだろうか…

「藍くん!!いい加減自分の教室に戻りなさい!!」

いつもは声を荒げない先輩が

大きな声でそう言った。

周りの生徒や教師も驚いた顔をしていた。

ダメか…、そんなに俺は先輩に迷惑がられていたのか…




もぅ先輩を見る事ができずに

背を向けようとした時。

「誰が自分の好きな相手に留年なんか
させたいもんですか…君がまた一年になったら私はもっと
君より離れてしまう…」

「っえ!?」

「だから!!わ、私も藍くんの事、好きなの…よ」

マジで!?!?!?!?

「はは、マジで!?っえ…本当ですか!?」

驚いたのはきっと俺だけではないだろう、

先輩のクラスにいる人達、皆驚いたように

俺たちを見ている

「も、もぅ何回も言わせないで…
藍くん!!あなたが好きです」

「よっしゃぁぁぁぁぁ!!!
やったやったー」



俺は、たくさんの祝福の言葉と、教師の怒鳴り声を背に

先輩を連れて教室を抜け出した。

更新日:2013-07-25 07:36:01

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