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第4話 ロケット団のお仕事
【ハナダシティ フレンドリィショップ】
「『ジョウト地方では今!! ポケモンをボールの外に出してお散歩させるのが大ブーム!! ポケモン達をいろんな場所に連れて行って、いろんな体験をさせてあげよう!! そうすれば、トレーナーとポケモンも一層仲が良くなること間違いなし』……か」
ハナダシティのフレンドリィショップで、俺は『月刊ブリーダーズ』を立ち読みしていた。
『月刊ブリーダーズ』は、主にポケモンを育成するための心得を取り扱っている雑誌で、今月はジョウト地方のポケモンの散歩についての特集が組まれていた。
むむ、これは使えるかもしれない。俺のポケモン達は俺に対する信頼というものが全くと言っていいほどない。
ここらで一つ、俺とポケモン達の仲を深めるために散歩をするというのもまた一興。ちょうど、ハナダシティの北には見晴らしのいい『ハナダの岬』ってとこがあるみたいだし、そこまでポケモンと散歩するとしようか。
俺は『月刊ブリーダーズ』を棚に戻して、フレンドリィショップから出ると早速ポケモンを外に出してみる。
「仕事の時間……じゃなくて散歩の時間だ、アーボ!」
出てきたのは紫色の細長い体を持つへびポケモン――アーボ。こいつはまだバトルでは一度も使ってなかったからな。一番なつき度の低いポケモンと言えるだろう。だが、今日から俺と共に散歩をすることによって、このアーボと大の仲良しさんになるのだ。
「さてアーボ、一緒に『ハナダの岬』まで散歩……ってなぜ俺から距離をとっている?」
気づけば俺とアーボには5メートルほどの距離が空いていた。俺が近づこうとすると、アーボもその分遠ざかる。俺がアーボから離れると、アーボは5メートルの距離を保ってついてくる。
「……OK分かった。この5メートルの距離が今の俺とお前の心の距離というわけだな!! うんうん、こういう分かりやすい形にしてくれるとは、さすがは俺のポケモンだ。さぁ、よしよししてやろう」
俺がアーボを撫でようと近づいたら、アーボはビクッと体を震わせて俺から距離をとった。……なんか傷つくな、この反応。
【ハナダシティ 住宅街】
「……アーボ?」
俺が振り向くと、アーボは電柱の陰に隠れてこちらの様子を伺っていた。この距離きっかり5メートル。
……なんだろうか。ポケモンと一緒に散歩って楽しいものだと思ってたけど、なんかこれ違う。まるで俺がアーボにストーキングされているかのような……いや、きっとアーボはシャイな性格なんだ。これから少しずつ打ち解け合っていけばいい。
俺がうんうんと頷きながら歩いていると、見覚えのある真っ黒な服を着た男が民家の周りをうろうろしていた。かなり挙動不審だが、せっかくなので声をかけることにする。
「どうも先輩。なにしてるんスか?」
「ハッ!? ……ってなんだ、同志じゃねぇか」
ロケット団の先輩は俺の声に一瞬ビビったようだったが、俺の手にしたウォッチャーを見てホッと息をついていた。
俺の所属する部隊は、基本的にロケット団の制服の着用を禁止されているので、代わりに仲間である証明としてロケット団専用の通信端末――ウォッチャーを提示することになっている。
「『ジョウト地方では今!! ポケモンをボールの外に出してお散歩させるのが大ブーム!! ポケモン達をいろんな場所に連れて行って、いろんな体験をさせてあげよう!! そうすれば、トレーナーとポケモンも一層仲が良くなること間違いなし』……か」
ハナダシティのフレンドリィショップで、俺は『月刊ブリーダーズ』を立ち読みしていた。
『月刊ブリーダーズ』は、主にポケモンを育成するための心得を取り扱っている雑誌で、今月はジョウト地方のポケモンの散歩についての特集が組まれていた。
むむ、これは使えるかもしれない。俺のポケモン達は俺に対する信頼というものが全くと言っていいほどない。
ここらで一つ、俺とポケモン達の仲を深めるために散歩をするというのもまた一興。ちょうど、ハナダシティの北には見晴らしのいい『ハナダの岬』ってとこがあるみたいだし、そこまでポケモンと散歩するとしようか。
俺は『月刊ブリーダーズ』を棚に戻して、フレンドリィショップから出ると早速ポケモンを外に出してみる。
「仕事の時間……じゃなくて散歩の時間だ、アーボ!」
出てきたのは紫色の細長い体を持つへびポケモン――アーボ。こいつはまだバトルでは一度も使ってなかったからな。一番なつき度の低いポケモンと言えるだろう。だが、今日から俺と共に散歩をすることによって、このアーボと大の仲良しさんになるのだ。
「さてアーボ、一緒に『ハナダの岬』まで散歩……ってなぜ俺から距離をとっている?」
気づけば俺とアーボには5メートルほどの距離が空いていた。俺が近づこうとすると、アーボもその分遠ざかる。俺がアーボから離れると、アーボは5メートルの距離を保ってついてくる。
「……OK分かった。この5メートルの距離が今の俺とお前の心の距離というわけだな!! うんうん、こういう分かりやすい形にしてくれるとは、さすがは俺のポケモンだ。さぁ、よしよししてやろう」
俺がアーボを撫でようと近づいたら、アーボはビクッと体を震わせて俺から距離をとった。……なんか傷つくな、この反応。
【ハナダシティ 住宅街】
「……アーボ?」
俺が振り向くと、アーボは電柱の陰に隠れてこちらの様子を伺っていた。この距離きっかり5メートル。
……なんだろうか。ポケモンと一緒に散歩って楽しいものだと思ってたけど、なんかこれ違う。まるで俺がアーボにストーキングされているかのような……いや、きっとアーボはシャイな性格なんだ。これから少しずつ打ち解け合っていけばいい。
俺がうんうんと頷きながら歩いていると、見覚えのある真っ黒な服を着た男が民家の周りをうろうろしていた。かなり挙動不審だが、せっかくなので声をかけることにする。
「どうも先輩。なにしてるんスか?」
「ハッ!? ……ってなんだ、同志じゃねぇか」
ロケット団の先輩は俺の声に一瞬ビビったようだったが、俺の手にしたウォッチャーを見てホッと息をついていた。
俺の所属する部隊は、基本的にロケット団の制服の着用を禁止されているので、代わりに仲間である証明としてロケット団専用の通信端末――ウォッチャーを提示することになっている。
更新日:2013-12-19 08:04:05