• 303 / 621 ページ

第7部長編:犬夜叉:絢爛なる狐と悲愛なる戦国御伽草子

『…どうした犬夜叉まだ私の手脚は動く私の喉元に牙を突き立てるだけでは私は止まらぬぞ…止めたくば今すぐ私を殺すのだッ‼︎』…地獄を見た。

ー犬夜叉:絢爛なる狐と悲愛なる戦国御伽草子ー
題名:犬夜叉が垣間見し地獄の風景

赤々に染まる黒煙が其処彼処に黙々とドス黒い雲となり空を染め上げる。
殺し合い斬り合い全身に斬り刻まれながら鮮血を流して武者の刃や放った矢が体中に突き刺さっていても闘志だけは漲らせ立ち向かう怒号が戦場と化す那須の山に山彦の様に響き渡っていた…。
其処はかつて白面金毛九尾の狐が宮から落ち延びて辿り着いた最期の場所。
此処で後天皇陛下に仕える約八万物軍勢が魔性の狐を仕留めんが為赴いた。
百の刃を突き立てられ千の矢を受け万の猛者が雪崩れ込んだ。
たった一匹の狐を仕留める為に…那須の山を地獄に変えた。
『…どうした犬夜叉まだ私の手脚は動く私の喉元に牙を突き立てるだけでは私は止まらぬぞ…止めたくば今すぐ私を殺すのだッ‼︎』地獄を俺は見た…。
『躊躇うな迷うな臆するな‼︎私は既に死人だ迷い無く斬り捨てろ犬夜叉ッ‼︎』
『出来る訳がねぇッ…親父は俺達の為に願っただけじゃねぇかッ‼︎』
俺が血塗れな親父に叫んでいた…俺の体も血塗れで傷だらけだった。
鉄砕牙を持つ握力も弱弱しくて脚もふらついていた…血が足りないんだ。
『…ならばお前の大事な仲間等を私が殺せばお前は私を殺せるか?殺生丸を斬り捨てるだけではまだ私を斬れぬのか犬夜叉…』『…殺生丸?』
『…分からぬか…彼処に転がるお前の兄の姿を見ろ私が斬り捨てたのだ』
『…やめろ…親父…親父は殺生丸を…生きて欲しいって望んだだろうが』
『あぁ望んだ…殺生丸に生きて欲しいと…お前や十六夜を救いたいと…皆を護りたいと…だがッ‼︎私は何も護れないのだ‼︎もうッ…此以上お前達から奪いたくはない…私の業を行いたくないのだッ‼︎犬夜叉私を殺してくれッ‼︎』
……地獄何だ…俺達が居る場所は地獄何だ…地獄にいるから…………



ザシュッ……‼︎‼︎‼︎『……嫌だ…ッ…嫌だッ…俺はッ…こんなのッ‼︎‼︎‼︎‼︎』


地獄にいるから……俺は…きっと……無くしちまったんだ…全部を……。


……ガバッ‼︎「ハァッ…ハァッ…ハァッ…クソ…またこの夢かよッ」
もう何度この悪夢を繰り返し見ただろうか…まだ息切れが激しく起こる。
(…俺の心に不安が起きてるから…とかじゃねぇよな…前に鏡夜が親父に戦いを嗾けた夜…弥勒達が見た悪夢…九尾が例え見せてるとしても…)
それでも弥勒達も悪夢を見たのは一度きりと言うし犬夜叉の様に何度も繰り返し毎日見てはいない…何故か犬夜叉だけ毎日必ず悪夢を見て魘されていた
「……何で毎日見るんだろうな」「……また悪夢を見たのか犬夜叉?」
朝日が差し込み若干まだ眠気が取れない瞼を擦りながら見ると犬夜叉の隣で静かに座りながら様子見している殺生丸がいた。
「…あれ?殺生丸お前も此処でもしかして寝てたのかよ?」
「……やはり気付いていなかったのか酷く魘されていたぞ」「…そっか」
まだ動悸が酷く起きるのを犬夜叉は手で必死に撫で下ろしていたその動作を見て殺生丸が不意に彼の手を犬夜叉の胸に添えた…。「…まだ激しいな」
「…暫くすりゃ収まるから心配すんなよ…それより…何でお前俺の所に?」
犬夜叉は悪夢を毎日繰り返し見る様なってからはかごめ達に事情を話して彼は彼女達の近くに生える木に腰掛けたりして寝る様にしていた。
その為毎朝犬夜叉は彼女達の眠る場所からは若干離れて起きていた。
毎日繰り返し悪夢を見てはこの様に跳ね起きるのだから余り見せたくはない
「…お前もまだ悪夢を見るのかと様子見に来ただけだ」
「…お前なぁ…あんまり無理して動き回るなって言っただろうが」
「昨夜は此処で寝て今朝起きお前と今こうして話している動いてはいない」
…殺生丸の体は昔九尾と戦った致命傷の怪我を負っていた。
その怪我の傷は完治してなくて傷を唯塞いだだけらしい。
九尾の呪詛が発動されてから徐々に殺生丸の体は今も弱ってきていて、
親父と最後戦った時その怪我が開いて一度は瀕死になった。
白神木と天生牙の働きでどうにか一旦傷は塞いだけどまたいつ開くかはわからねぇし…それに…「私がお前の身を案じてはいけないのか犬夜叉?」
(…また始まった)「いけなくねぇけど俺はお前も心配何だよ殺生丸」
「無理はしない動けなくなれば父上を救えなくなる…」「……殺生丸」
……何なんだろうな…此も九尾の呪詛の影響受けてるのかどうかわからねぇがどうも玉に殺生丸は気を病む時がある。
日に日に酷くなる殺生丸が俺は…心配だった。

ー犬夜叉:絢爛なる狐と悲愛なる戦国御伽草子ー終ー

更新日:2017-01-17 17:46:23