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水ぐるい ご
目を開けますと、真っ青な夏の空が見えました。
背中のほうからは、変わらず水音が聞こえていました。
お兄さんは、何事も無かったように立ちあがられました。
そして、私を引き起こしてくださいました。
そのまま床几の端に並んで座って足を川につけ、火照った身体を冷しました。
しかし、ひどく暑いにもかかわらず、身体はずっと寄せ合っておりました。
「お兄さんの、においが好きです」と申しあげると、お兄さんは私の「……が好きだ」とおっしゃいました。
私は済まなさに青くなりましたが、お兄さんは「本当に好きだから」と笑っておっしゃっいました。
お兄さんのおかげで、忘れられない十三の夏になりました。
その後も、毎夏親しくさせていただいておりますが、屋外でこのようなことをしたのは、後にも先にもこのとき一回きりでした。
背中のほうからは、変わらず水音が聞こえていました。
お兄さんは、何事も無かったように立ちあがられました。
そして、私を引き起こしてくださいました。
そのまま床几の端に並んで座って足を川につけ、火照った身体を冷しました。
しかし、ひどく暑いにもかかわらず、身体はずっと寄せ合っておりました。
「お兄さんの、においが好きです」と申しあげると、お兄さんは私の「……が好きだ」とおっしゃいました。
私は済まなさに青くなりましたが、お兄さんは「本当に好きだから」と笑っておっしゃっいました。
お兄さんのおかげで、忘れられない十三の夏になりました。
その後も、毎夏親しくさせていただいておりますが、屋外でこのようなことをしたのは、後にも先にもこのとき一回きりでした。
更新日:2013-05-13 15:01:46