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水ぐるい さん
貴船川へと降りる道へ行かれます。
足を水に浸けるおつもりなのでしょうか。
お兄さんと水遊びをするのかと思うと、子どものようにわくわくしました。
清流のうえで食事ができるよう、川のなかには床几が置かれていました。
来週から始まります夏の風物詩、「川床」の準備です。
お兄さんは、靴を脱いで床几の端にお座りになりました。
私も、同じようにして横に座りました。
鞍馬でひらかれている祭りのせいか、あたりにはひと気がありませんでした。
足元を流れる水の音が、少しうるさく感じました。
川下のほうからは、蝉の声が聞こえてきます。
暑いので、身体がふれるかふれないかの距離に座ったのですが、お兄さんが私の肩をお引きよせになりました。
そして、おとがいに指を添えると、うえを向かせて接吻なさいました。
長年、兄と呼びお慕いしてきた方のこのふるまいは、私を驚かせました。
幼き僧である私に、色情を抱かれていたとは思いもしなかったからです。
驚いて身体を離し、川のなかを走って逃げようとしましたが、十歩もいかないうちにうつ伏せに転んでしまいました。
お兄さんが急いで駆けよってきて、助け起こしてくださいました。
着物は、すっかり濡れてしまっていました。
恥かしいやら照れくさいやらで、私はお兄さんの胸に顔をうずめました。
おかげで、お兄さんの洋服まで濡らしてしまいました。
お兄さんは、この暑さにもかかわらず私を抱きよせてくださいました。
申しわけなくて、私はお兄さんから離れようとしました。
すると、お兄さんは私の耳元に口をおよせになり、ある言葉をささやかれました。
お兄さんがしたいと切望されていることがなんであるのか、具体的にはわかりませんでした。
しかし、幼稚な頭でもお兄さんにとってよろしくないことであるのは、想像できました
「いけません」と、お伝えしました。
「なりません」と、お断りしました。
しかし、お兄さんはあきらめてはくださいませんでした。
お兄さんがそれほどまでにしたいとおっしゃるなら、もう私には拒むことはできません。
なさっってくださいとしか、申しあげようがありませんでした
大好きなお兄さんですから、本当は何でもしていただきたかったのです。
私は、お兄さんの望みをかなえてさしあげることにしました。
足を水に浸けるおつもりなのでしょうか。
お兄さんと水遊びをするのかと思うと、子どものようにわくわくしました。
清流のうえで食事ができるよう、川のなかには床几が置かれていました。
来週から始まります夏の風物詩、「川床」の準備です。
お兄さんは、靴を脱いで床几の端にお座りになりました。
私も、同じようにして横に座りました。
鞍馬でひらかれている祭りのせいか、あたりにはひと気がありませんでした。
足元を流れる水の音が、少しうるさく感じました。
川下のほうからは、蝉の声が聞こえてきます。
暑いので、身体がふれるかふれないかの距離に座ったのですが、お兄さんが私の肩をお引きよせになりました。
そして、おとがいに指を添えると、うえを向かせて接吻なさいました。
長年、兄と呼びお慕いしてきた方のこのふるまいは、私を驚かせました。
幼き僧である私に、色情を抱かれていたとは思いもしなかったからです。
驚いて身体を離し、川のなかを走って逃げようとしましたが、十歩もいかないうちにうつ伏せに転んでしまいました。
お兄さんが急いで駆けよってきて、助け起こしてくださいました。
着物は、すっかり濡れてしまっていました。
恥かしいやら照れくさいやらで、私はお兄さんの胸に顔をうずめました。
おかげで、お兄さんの洋服まで濡らしてしまいました。
お兄さんは、この暑さにもかかわらず私を抱きよせてくださいました。
申しわけなくて、私はお兄さんから離れようとしました。
すると、お兄さんは私の耳元に口をおよせになり、ある言葉をささやかれました。
お兄さんがしたいと切望されていることがなんであるのか、具体的にはわかりませんでした。
しかし、幼稚な頭でもお兄さんにとってよろしくないことであるのは、想像できました
「いけません」と、お伝えしました。
「なりません」と、お断りしました。
しかし、お兄さんはあきらめてはくださいませんでした。
お兄さんがそれほどまでにしたいとおっしゃるなら、もう私には拒むことはできません。
なさっってくださいとしか、申しあげようがありませんでした
大好きなお兄さんですから、本当は何でもしていただきたかったのです。
私は、お兄さんの望みをかなえてさしあげることにしました。
更新日:2013-05-13 15:00:53