官能小説

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焔ぐるい いち

金襴緞子の 帯締めながら

花嫁御寮は 何故泣くのだろう



―長男なのに九条はおかしいでしょう?

言われた言葉より、あまりの美丈夫に圧倒され言葉を失いました。

お背は高く、たくましい軀つきをしていらっしゃいました。

お顔は男らしくはありましたが整っており、柔和なお顔つきでした。

そのくせ若々しく、輝くような生気にあふれてもいらっしゃいました。

これほどの僥倖が自身の身に与えられるとは、思ってもみませんでした。

経済的に困った状況に置かれている華族の娘が嫁ぐ相手は、醜い金持ちか、年寄りで社会的地位の高いかたに決まっております。

このように端整な顔立ちの若い殿方と添うことができるなど、思ってもみないことでございました。

お名前のことですが、九条さんのお母さまが九条とおっしゃる京都のお公家さんかから嫁いでいらしたらしく、実家の名を残したいとご子息にお付けになったそうです。

―どうでしょう。僕では、不足ですか?

言わずと知れた今回の縁談のことです。

顔から火が出るとは、このことでしょう。

「ぜひに」というのも恥かしく、下を向いたまま小さく頷きました。

うつむき過ぎたためか、真新しい半襟に顎がついてしまいました。

振袖は古いものでした。

観世水の地柄にくす玉をあしらったもので、母のお古を姉が着、そして私のところへと下がってきた着物でした。

今の我が家には、見合い用の着物を新調する余裕すらありませんでした。

しかし、半襟だけは新しい物をと母が用意してくださったのというのに、白粉(おしろい)で汚してしまいました。

九条家が望んでおられるのは、いちにもににも跡取りとなる男子。

九条さんの下にもうひとり男の子がいらしったらしいのですが、生まれてすぐにお亡くなりになったそうです。

お父様も一人っ子らしく、早めになんとしても男の子をとのことでした。

私のほうはと申しますと、姉のほか弟が四人もおります。

男腹で縁起がいいと、持ちあがった話でした。

関西の裕福な貿易商のひとり息子と、貧窮している旧家の娘。

我が家は、廃藩置県の折に東京へと出てまいった家でございます。

九条さんが東京の大学を出ておられることも両家にとって良い材料で、話はとんとん拍子に進みました。

更新日:2013-10-28 09:11:05

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