官能小説

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水狂い よん

やがて、背中のほうから水がせりあがってくる音が聞こえた。

瀑布が近づいてきたのが水音から知れた。

滝壺から上方へと、大量の水がせりあがってくるのが、背中越しに感じられた。

見えたわけではない。

ただ感じたのだ。

ふと顔をあげると、恋しい人がいた。

いつのまに船に乗ったのか、最初からそこにいたのか、船にはふたりで乗っていたのだ。

見えるはずのない顔が見え、微笑む。

今昔物語の一節が頭に浮かんだ。

ほとけ、みしょうせり。

俺は、最後のひとこぎとばかりに、渾身の力をこめて櫂を水中で押しまわした。

がくんと船が揺れ、突如として浮遊感に襲われた。

滝に達したのだ。

ふたりをのせた小舟が、大量の水に洗われながら下へと落ちていく。

不思議なことに、落ちていくのに昇っていた。

登りつめていくのに、沈んでいくようだった。

快楽の瀑布には底がないのか、なかなか瀧壺へはたどり着けなかった。

更新日:2013-10-27 20:47:29

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