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「あかん。さすが我が子や。プシュケーの身体は、すっかり開発されてしもてる。ちょっとやそっとでは、どうにもできひん。
「快感攻めはあきらめて、オーソドックスな嫁姑いいじめに変えよ」

アフロディーテは、プシュケーを穀物小屋へ連れて行くと、しゅうとめ根性まる出しで命令した。

「明日の朝までに、ここにある穀物を、種類別にわけときよし!」

小屋じゅうに散乱した穀物を見て、プシュケーは絶句した。

「ほな、頼んだで!」

アフロディーテが小屋から出ていくと、プシュケーはつぶやいた。

「どないしょ。あて、家事なんかしたことないのに・・・」

その様子をこっそり物陰から覗いていているものがあった。

愛宕山の山頂でプシュケーと別れたあと、SM道の指導に全国を飛び回っていたキューピッドである。

帰宅し、母親であるアフロディーテが妻を責めるのを見たキューピッドは、妻への愛情が再燃するのを感じた。

「我が妻ながら、すごい素質あるわ。ほれなおした」

妻が穀物小屋へ引きたてられて来るのを見て、次はどんなプレイが見られるのかと期待していたキューピッドであったが、妻が家事を言いつけられたのを見て落胆した。

「なんや、おもろない。お母はんも、としとって甘ならはったな」

しかし、プシュケーとの仲を認めてもらうためには、母に妻を気にいってもらうことが大事だと気付き、キューピッドは手を貸すことに決めた。

「ほれた弱みや。しゃあない、助けたろ」

穀物小屋のなかでプシュケーが途方にくれていると、どこからともなくアリの大群がやってきて、穀物を種類ごとに分け始めた。

プシュケーは、驚いて言った。

「アリさん、助けてくれはりますのん?」

アリは、ヒト文字ならぬアリ文字で、答えた。

「へ?『か・わ・り・に・あ・と・で・あ・ん・さ・ん・の・み・つ・も・ら・い・ま・す』てか?よう、わからんけど、承知しました」

全ての穀物を種類別にわけ終わると、アリたちがプシュケーの足をのぼり始めた。

「あ~れ~!」

キューピッドは、アリの姿で妻のなかに入りこみ、甘い蜜を堪能した。

更新日:2013-04-20 12:35:23

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京都生まれのキューピッドとプシュケー