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家へ帰ると、姉たちが嬉しそうに尋ねてきた。

「どやった?」

「ブ男ちゃいました…キューピッドはんどした」

しょんぼりしながら、プシュケーが応える。

「ほんまかいな?」

「信じとくなはれ。それより、言うこと聞かへんかった言うて、捨てられましてん」

「なんや、出戻りかぁ?」

上の姉が、満面の笑顔で言う。

「あてらと、おんなじや」

下の姉も、楽しそうに同意する。

「なに言うてんのん、失礼な!あてらは、未婚。プシュケーは、バツいち!」

「アハハハハ!せやな。一緒にしたら、アカンな」

妹であるプシュケーの不幸を姉たちが嬉しそうに話すのを見て、プシュケーはむかついた。

もとはと言えば、姉たちの勧めによりやったことの結果である。

姉たちが余計なアドバイスなどしなければ、今夜も夫と楽しく過ごせたのにと思うと、プシュケーは腹が立ってたまらなかった。

プシュケーは、心のなかでつぶやいた。

「女の一念、岩をも通す!血ぃのつながった姉でも、許さしまへんで!」

プシュケーは、精いっぱい可愛らしい声で姉たちに話しかけた。

「夫は、もう愛宕山の宮殿には居いしませんけど、お宝は置いたままどす。清水の舞台から飛び降りたら、風の神さんが運んで行ってくれはりますさかい、すんませんけど取ってきてくれはりませんか?」

姉たちが、いそいそと家を出ていくと、プシュケーはひとりガッツポーズをした。

更新日:2013-04-20 12:18:44

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京都生まれのキューピッドとプシュケー