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ミドリとあたし、オレとアヤ

トイレの中から顔を出しているミドリをにらんだ。

『カレにブラ直してもらいなよ』
『ヤだよ、そんなの!』
『でも金具壊れてるし、またすぐ外れるよ。男の子の力なら一発だって』

それわ確かに…

『おっぱいも揉んでもらえば』
『ば、バカっ!』

こんなとこで揉ませるかッ!

…けどブラはアヤに頼むしかないかも。でも昨日の今日だし、これ以上アイツに女扱いされるのわヤだなぁ。

「何ゴチャゴチャやってんの?」
「あ…そのぅ…」
「そろそろ行かねーと…」
「う…うん…」

やっぱ言えない。どーしよ…でも、こんな中途半端な状態でわ…

カンカンと乾いたサンダルの音が響いた。ミドリだ。
「あのっ…突然ごめんなさい。あたし、アヤの友だちなんですけどぉ…アヤのカレシ…ですよね?」
何で出てきたの?
「…そーですけど」
アヤもキョトンとしてる。

「この子、ブラ壊しちゃってぇ、直してあげてくれません?この子恥ずかしがって言わないから…」
「ちょ、ミドリ?」

…参ったな。好意のつもりなんだろーけど…

「アヤ本当に困ってて。この巨乳でしょ?ノーブラじゃ正直まともに歩くのも辛いんですよぉ」
「ミ、ミドリ…ンなこと言わなくてもいいから…」
「カレシも恥ずかしいかもですけど、何とかしてやってくれません?」

あたしの反論なんて聞いちゃいない。てかソイツは元女だし。恥ずかしくなんかないから。つーかさ、どこで直してもらうの?

「ここじゃナンだし。あっち行きましょ」
ミドリはあたしの両肩をつかみ、くるっと体を回した。
「あゥ…」
敏感な部分が擦られ、反射的に胸を抑えた。気付かれた!?アイツは違う方向を見ていた。良かった。…やっぱブラ直さないと、ここから動けないな。ミドリが背中を押した。きっと建物の陰に連れてくつもりだ。

あたしわ、押されるままに進んだ。足が止まると、ミドリがセーラー服の裾をつかんだ。ま、まさか…
「や、やめて!そんな!」
必死になってミドリの手を掴んだ。でも力の差は明らかだった。

徐々にあたしの手が上がっていく!ミドリ、こんな細い手してるのに何て力なの?…てかあたしの腕、脂肪の塊かよ!?

「やだよ、こんなの!」
「もうこれしかないでしょ!それともノーブラで学校行くの?そっちのが恥ずかしいでしょ」

そ、それわ…ムリ。あ。今ブラの両端がセーラー服の裾からぴろんって出た。あ、あ、胸が出る…あたしわミドリの手首から手を離し、胸の前で組んでブラとセーラー服を抑えた。

「カレシ?コレ。ココ見て!」
「あン!」
ミドリが乱暴にブラのホックを引っ張ったから、胸が擦れた。
「こんなに伸びちゃってて…ウチらも頑張ったんだけど、女の力ぢゃどーしよーもなくて…直してあげてくれます?」
またアヤにブラされんのぉ…
「別に…いいスけど」
「ふ、二人で決めないで!」
あ…あたしの意思わどーなんのよ!

「あゥ!」
アイツがブラつかんだ…
「おまえ…可愛いのつけてんだな…」
「い、いいじゃん別に!今日はちょっと…アレだから…」
「いーけどさ、別に。おまえが好きなのつけたらいいけど…」

自分のブラをこんな風に見られて、掴まれてるなんて、マジ恥ずかしい…

アヤにブラを見られたことはある。でも、まだアヤが付けてた様な、タンスに元々入ってたスポブラとか、ショートボクサーみたいな、色気のないのだった。

きょうはデートはないと思ってたんだ。午後から補講で、部活は途中で抜けるから気を抜いてた。

レース遣いがすっごくカワイイお気に入り。前を隠してるのが救いだけど、ストラップにもヒラヒラがついてるから、相当ハデなのだって分かると思う。

完全に引いてるよアヤのヤツ。そりゃそーだよね。『男のくせに、こんなの着けてヘンタイ』と思ってるかも?

「…なんかきょうはオンナっぽいけど…なんかあった?」
「そ、そんなことないヨ…いつもと変わんないでしょ?」

強烈な女モードに入ってる自分に驚いてるみたい…。ミドリがいるからね。ちょっと恥ずかしいな…ミドリたちと話してるときは、学校での女モードとも違って、かなりギャルな感じになるから…。でも急に変えられないよ。

更新日:2014-06-10 04:00:20

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