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親友

同じ家で生活していても活動時間が違うせいで普段はあまり顔を合せないオニュとジョンヒョンが、今日は珍しく2人で出掛けている。
今日の本来の目的は、大学に行きミノの行方を探すこと。
オニュがミノと同じ大学の卒業生だということが分かったので、ジョンヒョンはオニュに広い構内の案内を頼んでいた。

しかしその前に、オニュが来年自分の手で新しくオープンさせる予定のカフェに立ち寄る。
大学からほど近いこの場所は、緑も多く閑静な雰囲気だ。

「すご…!」

一軒屋をリフォームして造った素朴なカフェに、ジョンヒョンは入り口の扉を開くなり感嘆の声を上げた。
木造の柔らかい色合いが、どこかホッとする空間を演出している。

「うわー、俺、ここだったら毎日来るわ」

日当たりも良くて、日向ぼっこができそうだ。
窓際の席に座って微笑むジョンヒョンの隣に、オニュも腰を下ろす。

「…バイト、募集してるんだよね」

「え?」

「さすがに一人じゃ無理だろうと思ってさ。1人か2人くらい、今探してる途中」

「ふーん、そうなんだ」

呑気な声を出すジョンヒョンに、オニュは「やってみない?」と誘ってみた。

「え、俺が?」

「うん。バイト代、今のとこよりは少ないと思うけど、お母さんの入院費くらいは出せると思う」

突然オニュにそんなことを言われ、ジョンヒョンは困ったように笑う。

「すっごくありがたいけど、俺、カフェって柄じゃなくない?」

「そう?案外似合うかもよ?」

「どうかなー…」

「それに、テミンも連れてこようかと思ってさ」

オニュは、店内を見渡しながらいつになく優しく微笑んだ。

「2階に住めるようになってるんだ。今いるとこは引っ越して、3人でこっちに住まない?ここなら静かだし、空気も良いし。少しはテミンもゆっくりできるだろ?」

オニュがそこまで考えていたとは知らずに、ジョンヒョンは驚いて目を丸くする。

「まあ、その…ミノさんって人が見付かったら、テミンはその人のとこに行くのかもしれないけどさ」

ジョンヒョンはそれを聞いて初めて気付いた。
ミノを見付けたら、テミンがいなくなってしまうかもしれないということに。

「…そっか。そりゃ、その人のとこ行くよな……」

寂しく呟いて、高い天井を見上げる。
ここで3人で暮らしたらそれはそれで幸せな気がして、ジョンヒョンは少しだけその未来を期待してしまった。


更新日:2013-05-05 08:50:45

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