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小説

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〈後編〉居場所

線路沿いの風俗街。
夜の妖しいネオンに包まれたその通りに、一軒の洒落たカフェがある。

1日の大半はカフェ。
そして、21時からがバー。

21時を過ぎ、オニュは腰の黒いエプロンを取りコートを手に持った。
裏口の扉を開けて外に出ると、煙草に火をつける。
少しだけ吸った後にすぐ火を揉み消し、風俗店の前を気怠そうに歩いて行く。

「ねえ、ちょっと寄ってかない?」

若い風俗嬢の誘いに、オニュは小さく笑いながら歩みを少しだけ緩めてすれ違い際に口を開いた。

「悪いけど、もっと可愛い子家に待たせてるから。また今度な。」

冬に近付き寒い通りを、肩を竦めながら歩く。
歩いて15分。
重々しいダークブラウンの扉の一軒家に足を踏み入れた。

数年前から住んでいるこの家は、株で大儲けした叔父の持ち物だ。
外観を気に入って購入したらしいが、仕事に行くのに場所が不便だと言い譲ってくれた。

玄関から続く廊下を歩く途中で、奥の部屋の扉が開き居候しているジョンヒョンが顔を出す。

「あれ、オニュヒョン。お帰り」

「ただいま。今日はバイト休み?」

「そ。向こうの手違いで、珍しくね」

ジョンヒョンはオニュが働いているカフェの数軒先のクラブで、夜にバイトをしている。
最初はジョンヒョンがバイトの前にカフェに夕飯を食べに寄ったのが付き合いの始まりで、話しているうちに意気投合して気付いたら自分の家で居候をさせていた。

気さくで、明るくて、情が厚い。
ルックスのせいで軽い男に見られがちだが、そんなことはないと思う。
遊び好きなせいで父親に逃げられた母親に散々苦労させられたと聞いたことがあるが、今は病気で入院中の母を見捨てず、入院費を稼ぐためにバイトをしている。
意外と真面目で堅実な、優しい男だ。

「テミンは?」

もう一人、1年前から住んでいる美青年。
華奢な体を包む真っ白な肌と、中性的な愛らしい顔。

ジョンヒョンのバイト先のクラブに住み込みで働いていたらしい。
店長から酷い扱いを受けていて、それを知ったジョンヒョンが可哀相で見ていられないと連れてきた。
心臓が悪いらしく、薬代だけは必要だからと今は週に一度だけバイトを続けている。

「リビングにいると思うけど。ご飯まだなら作っといたよ。テミンと俺はもう食べたから。」

朝と昼はオニュ、夕食はジョンヒョン。
食事の担当は決まっている。
テミンは昼間に食器を洗ったり洗濯をしたりしてくれるが、体が弱いのであまり無理はさせないようにしていた。


更新日:2013-04-19 19:09:18

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