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小説

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分かれ道

楽しい日々はあっという間に過ぎ去る。
白い粉雪が舞い、年が明け、そして季節は2人が出会った春に戻った。

人は春を出会いの季節と言うが、その前には必ず別れがある。

大学の近くの真新しい学生寮に越すことになったミノは数日前から慌ただしく準備をしていて、今日は朝から父と車に荷物を運んでいた。
テミンはその様子をただじっと見ていて、時々ミノと目が合うと嬉しそうに微笑む。

少しだけ寂しいけれど、泣いたりなんてしない。
だって、ミノが来週末には戻ってくると言ってくれたから。

大学へは、電車を乗り継げば2時間ほどで行ける。
毎週金曜日の夜に家に戻り、週末はそのまま過ごして月曜日の朝は自宅から通学する予定だ。
だから、ほんの少し、寂しいだけ。
一緒にいる時間が、今までよりも短くなってしまうから。

「それじゃ、もう行くよ」

母に声をかけて、ミノは最後の手荷物を持った。

「気を付けてね。明後日の入学式の時間だけもう一度連絡して。」

「分かった。テミンのことだけど…」

「大丈夫よ。一緒にミノの帰り待つんだものね?」

「うん!」

母が振り向けば、テミンは笑顔で頷く。
もう息子同然のテミンを、母は卒業までずっとこの家で預かる気らしい。

孤児院には帰らない。
だって、生まれて初めてこんなにも幸せな場所を見付けたのだから。

「テミン、母さんの言うことちゃんと聞けよ?」

「はーい。」

「何かあったら…」

「お母さんか、ミノヒョンの携帯に電話すること。散らかしたらちゃんと片付ける。夜は早く寝る。あと…」

満員電車に乗らなくても済むように、朝はできるだけ早く起きる。
ご飯を食べたら食器は流しへ入れる。
牛乳は冷蔵庫にしまう。
学校に行ったら今日の授業の予習をする。
勉強で分からないところは先生に聞く。
具合が悪くなったら無理をしないで誰かに言う。
寄り道をしないでまっすぐ帰る。
帰ったら手洗いうがいを忘れない。
宿題は早めに終わらせる。

他にも沢山、ミノと約束をしたことがある。

「分かってるならいいよ。じゃあ、どうせまたすぐ帰るから。」

「うん。早く帰ってきてね!」

そう言って笑顔で手を振るテミンに軽く手を振り返して。
まさかそのまま会えなくなってしまうなんて夢にも思わず、ミノは父が運転する車に乗り込んだ。


更新日:2013-04-15 21:18:08

夕暮れに舞う春の雪 SHINee Minho*Taemin