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校門の前の「入学式」という大きな看板の横を、ミノは腕時計に視線を落としたまま大股で通り過ぎた。

今日は午前中に始業式があり、ホームルームでは新しい担任から最高学年としての振る舞いだとか、受験勉強がどうとかと興味のない話を聞かされそのまま放課後に。
走るなと何度注意されたか分からない廊下を疾走し、新学期最初の部活へと向かった。
今はその帰りだ。

(明日の練習メニューどうするかな…)

この学校に入学してからずっと寝ても覚めても部活に明け暮れているミノの頭の中は、相変わらずサッカーのことでいっぱい。

今日はいつもよりも時間が早いし、帰ったら筋トレでもしようか。

そんなことを考えながら顔を上げたミノが、少し目を見開いて足を緩めた。

夕暮れで紫色に染まった空に、桜の花びらがふわっと舞う。
そんな絵画のような風景を、一人の少年が見上げていた。

綺麗な夕焼け空や、舞い上がった桜に見入ってしまったわけではない。
少女に見間違えてしまいそうなその少年の横顔に、魂でも抜かれたようにすっかり心を奪われてしまった。

歩く速度はどんどん落ち、少年の目の前に立ち止まる。

(新入生…?)

午後に新入生とその保護者、そして生徒会長だけが出席する入学式があったことは知っているけれど、もうとっくに終わっているはずだ。
とはいえ、少し大きめの制服にあどけない顔。

「君、1年生?」

思わずそう声をかけると、弾かれたように少年が振り返った。


更新日:2013-03-16 20:02:59

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夕暮れに舞う春の雪 SHINee Minho*Taemin