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お母さん

制服が半袖のYシャツに変わり、夏休みも間近の暑い季節。
それなのに昨日から故障してうんともすんとも言わない教室のクーラーを、キボムは恨めしそうに睨んだ。

「ダメ、もう死ぬ」

すっかり暑さに参っているキボムの隣で、ミノはいつになく真剣な顔。
手には今朝配られた進路希望調査のプリントがある。

「で、結局どうすんの?サッカー選手にでもなるわけ?」

気怠い声で話しかけるキボムの言葉に、ミノは「それはない」とはっきり答えた。

ミノのサッカーの実力は本物らしく、強豪校との練習試合に行った先でプロのサッカーチームからスカウトされることもある。
そのスカウトを受けてプロの選手になるのも一つの道だとは思うが、プロになるなら大学を卒業してからと父親に言われていた。

「じゃあどこ行くの?早く決めなよ。周りは遅くても3年になるまでに決めてるんだから。」

「どうするかな…」

この学校は進学校なので、同級生が受験するのは大抵が難関大学。
普通は早々と進学先を決めて、今の時期は必死に机に向かっている。

「なんか条件は?理学部がいいとか、工学系がいいとか」

「別に、特にやりたいことがあるわけでもなくてさ。強いて言えば、サッカー部がある大学がいいかなーって」

「そんなのどこでもあるに決まってんじゃん。」

呆れたキボムは、机に突っ伏したままそう答えた。

「ま、決まらなかったらどうせお兄さんのとこ行くんだろうけど」

ミノには大学に在学中の兄がいる。
優秀な兄は、勿論難関大学に進学していて今もかなりの好成績。

サッカー漬けの学生生活を送っているにも関わらず学年でトップ10に入るか入らないかという成績のミノなら、兄と同じ大学に入れそうだ。

「キボムはいいよなー。最初から行くとこ決まってて」

「そうでもないけどね」

医学部以外に選択肢がないキボムとしては、好きな大学を選べるミノが羨ましい。

「来週までには決めなよ。」

提出期限の日付を確認してキボムがそう言うと、ミノがため息をついて窓の外を眺めた。


更新日:2013-03-25 01:15:06

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