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翌日。
差し出された手は、昨日自分を優しく抱いてくれた、温かい手。

でも、今はその手に導かれて、あの場所に戻る。

あっという間に過ぎた1週間。
楽しい思い出が、ここに来ると零れ落ちるように記憶から抜け落ちていく。


手術が近いこと。
それは、前から告げられていた。

病室に戻ってから10日後に手術を受けて、その翌月も、また手術。

9月に変わろうとしているカレンダーの日付を、テミンがぼんやりと目で追った。
夢のようなあの1週間から、もう1ヶ月以上が経つ。
先月末に大部屋から個室に移されて、今は外泊も外出も許してはもらえない。

一日の楽しみと言えば、毎日交代に顔を見せてくれるオニュとジョンヒョンとキボムと話すこと。
そして、ミノと一緒にいることができる夜の数時間。

来月もまた、なんて。
もう何度目か数えることも面倒になった手術の準備が進められていることは、風の便りで聞いた。

「良くなるから」

手術の度にそう言うミノの言葉が、最近は信じられなくなっている。

だって。

(あ…、また……)

じわじわと締め付けられるような胸の痛み。
言い付け通りに大人しく横になっていたって、3日に一度はその痛みに襲われているから。

少し経って痛みは治まるけれど、体の怠さだけは残ったまま。


(喉渇いちゃった…)

冷蔵庫を見ても飲み物がなくて、ストックが切れていることに気付いた。

仕方なく小銭をカーディガンのポケットに入れ、ふらつく足元で階下の売店に向かう。

何度も休憩をとって、やっと着いた売店。
500mlのペットボトルを2本だけ買い、ビニール袋を提げて病室へ戻ろうとした。

「テミン?」

声を掛けられホッと肩の力が抜ける。

「やっぱりそうだ。どうした?」

優しい声と表情で近付くミノに甘えるのはいつものこと。

「…飲み物なくて、買いに行ってた」

「そっか。大丈夫か?歩くの久しぶりだろ?」

「ん…。疲れ…ちゃった……」

「部屋来いよ。休んでっていいから」

そんなミノの誘いに、テミンは迷うことなく頷いた。


更新日:2013-07-29 22:33:20

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