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no title

『正義は必ず勝つ。』

これはどんな物語にも当てはまる絶対前提である。
もちろん例外はあるだろうが少なくとも私の知る限りでは
さらに言えばこの物語に限ってこれは絶対的な前提なのだ。

そしてこの言葉裏を返せば

『正義に反する者は必ず負ける。』

これも絶対の理だ。





「というわけで、普通に考えれば私たちダークサイドの者達は
勝つことができないわけだが・・・」




ここは悪の組織『コノカリハ』の作戦会議室。
そしてこの組織のリーダーであるマルバスが皆に演説を振るっているところだ。



「では、悪は正義に勝てないのだろうか。そこで私は考えた。
世の中には『主人公特性』ならぬ『悪党の特権』というものがあるようだ。
例えば、正義側、つまり主人公たちに有利な展開、つまりはご都合主義だな。
これは一般的にあまり歓迎されない。
けれども逆の場合はどうだろうか。我ら悪党サイドにいくら有利な状況になろうとも
それは物語を盛り上げるために大きく役立つ要素となり
それに対し批判するというものはあまりいないだろう。
また、物語は往々にして主人公目線で書かれるため
私たち悪党の行動はあまり描写される機会がない。
極端なことを言ってしまえば、
『怪人はヒーロー達の拠点の前に立っていた』という描写があり
次に怪人が描かれるとき、
『怪人はヒーローたちの拠点の中で高笑う。』
さらには
『その前にはヒーローであっただろう人の残骸が無残に転がっていた。』
なんて展開があったとしても何らおかしくない、つまりだ。
私たち『コノカリハ』の目的である世界征服を達成するのに
この『悪党の特権』を利用できるのではないかということだ。
そして、作戦はすでに私の側近であるフェネクスが考えてくれている。
そこで皆に協力して欲しいわけだが、一つだけ、絶対に守って欲しい約束がある。
それは・・・」



更新日:2013-03-12 19:22:06

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