官能小説

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乙女

 バッグを抱えて部屋を飛び出した少年は、階段から転げ落ちるような勢いで玄関へと辿り着いた。シューズボックスからきなり色のバスケットシューズを取り出し、慌てて両足を突っ込もうとするが中々入って行かない事に苛立ちを覚える。
 ストラップを緩めたり、引っ張って結んだりでハイカットのバッシュは履き終わるまでが非常に面倒臭かった。それでも、レトロな雰囲気の復刻限定モデルは彼の一番のお気に入りだった。

 デザインガラスがはめ込まれた玄関ドアの向こう側に人影が近づいて来る。彼女だ、そう思った途端、ドアチャイムが鳴っていた……ピンポーーンと一度だけ。
 ごく当たり前の鳴らし方だった、住人が出て来るまでしつこく何度でも鳴らすような真似をするのは酔って帰宅した母くらいのものだ。
 素早く立ち上がった少年がドアを開けようとすると、外の人影は開閉の邪魔にならないようにサッと脇へよけた。外からもガラス越しに人の動きが見えるらしい。少年がドアを開けた途端、むわっとした熱気が入り込んで来て夏の暑さを再認識させられる。

「こんにちは!」
「あっ……どうも……」

 にこりと微笑んで挨拶をする彼女は予想通り曽根田紗貴と言う少女だった。だが、悠吾にはまったくの別人に見えて少し戸惑っていた……よく見ればそこにある顔は確かに彼女のものだったが、アップにまとめた髪は襟周りや頬のラインをすっきりと見せて普段とは印象が全然違っていたからだ。
 わずかに胸の開いた淡いグリーンのワンピースは、白く細いエナメルのベルトがウェストの辺りを絞り込んで、まだ幼さを残した身体のラインを僅かに強調していた。ベルトと合わせてチョイスしたのだろう、白いエナメルのサンダルはほんの少しだけかかとが高くなっていて、大人のようにお洒落をしてちょっぴり背伸びをした彼女を象徴しているようだ。
 悠吾の瞳に映った彼女はスクリーンから出て来てしまった青春映画のヒロインのようで、美少女と呼んでも差し支えないほどの変貌ぶりに驚かさるばかりだった。

「行こっ!」

 紗貴が言った、彼女を見つめたまま棒立ちになっている少年を促すように。

「あ、うん」

 ハッと我に返った悠吾は、玄関ドアの施錠を確認してから路上で待つ車へと向かった。紗貴の母親が運転して来たその車は、ある意味で所有する事が富裕層のステータスとなるような類の高級外車だった。
 曽根田と言う少女の家柄が裕福である事は学校で何度か話題に出たりもしたが、物静かではあってもお嬢様然とした雰囲気ではなかった事から半信半疑で聞いていた。しかし、それは制服姿しか見た事がなかった先ほどまでの事、見違えるような紗貴の装いと彼女を乗せて来た高級車は、少女がお金持ちの娘である事を物語っているようだった。

更新日:2013-03-16 01:19:54

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