官能小説

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疑念

「ねぇ、悠ちゃん……昨日の今日で悪いんだけど、ママ今夜も遅くなるかもしれないの」

 昨夜の出来事が脳裏を過ぎってドギマギする悠吾は精一杯の平静を装って言う。

「えっ、な、何で?」
「あのね、職場で納涼会があってビアガーデンに行く事になってるのよ……ごめんね」

 そう言って悠吾の頭をくしゃくしゃと撫でた悠里は、昨日とは別のパンプスを履いて玄関を後にした……『だから、良い子にお留守番しててね♪』……そう言い残して。
 溺愛ぶりは相変わらずだったがハンドバッグを左肩に下げて颯爽と歩いて行く母の後姿は自信に満ち溢れ、背筋がしゃんと伸びている。勤めに出始めた頃の彼女は不安を一杯に抱えて背中が丸くなっていたような覚えがあるのだ。
 父と母は大人の事情と言う奴で悠吾の中学校進学を機に二年半ほど前から別居しているが、専業主婦だった母は生活の為にと働きに出る事を決意し、学生時代からの親友を頼って現在の会社に勤めるようになったのだった。
 母が二つ目の角を左に曲がって、その背中が見えなくなるまで見送った悠吾は戸締りをすると自室へ戻った。足を投げ出してベッドに寝転がり、天井を見つめながらぼんやりと母の事を考え始める。

(ママ、けっこう可愛いんだよなぁ……)

 朝食の時に悠里が見せた表情、仕草を思い出すと胸がキュンと締め付けられるような甘酸っぱい感情に包み込まれた。ぺろっと舌を出し、小首を傾げて肩をすくめたあの時……我が母ながら可愛いと思ってしまったのだ。もちろん化粧をすれば大人には見えるが、それでも十五歳の息子がいるなどとは初対面の人ならとても想像出来ないだろうと思った。

(本当に覚えていないのかなぁ?)

 悠吾はいつもと同じように始まった一日を嬉しく思う反面、残念でもあった。酔っている母を半ば強引に姦してしまった……その事を間違いなく咎められると思っていたが、それが杞憂に終わった事を心の底から喜ぶべきなのだろう。そして昨夜の事は自分自身も忘れてしまった方が良いのだと何となく理解はしているつもりでも、母に対して淡い恋心を抱いてしまった今、恋人と過ごした一夜のような『あの出来事』が全て無かった事になってしまうのは惜しくてならなかった。

更新日:2013-03-10 01:03:00

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