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変態と影薄とボルグ

「残念だけど、もうこれは使えないわね」

整備室の受付で、整備長ボロボロになった『レヴァーティーン』の装備をアレンに見せて残念そうに言い放った。

「・・・やはりムリだったか」

「まぁね。このレヴァーティーンは特別性でふつう『バスター』クラスなのにあなたの要望で『ロング』クラスにしているもの。軽くするために刀身を限界まで削ってる分耐久力は弱いもの・・・・残念だけど処分したほうがいいわ。銃身も装甲も」

整備長はそう言い、ガラクタとなったレヴァーティーンを一か所に集め、処分する籠へ放り込んだ。
アレンは相棒といえるレヴァーティーンに心の中で「すまない、今までありがとう」と小さくつぶやき、別れを告げた。

「あと・・レインからあんたが前に注文した神機のパーツ用意できたって言って他の預かってるけど、見る?」

「当然だ!!」

整備長が奥から厳重なケースを取り出して机に置き、暗証ロックを外して開けた。
ケースの中には黒い神機のパーツが収められていた。

「これが・・・」

「そう、レイン開発主任が新たに作った新神機、『レーヴェ』よ・・・素材はあんたが昔遭遇した未確認のアラガミ『黒いヴァジュラ』の素材を元に作られている。刀身『レーヴェベルグ』はロングクラスでインパルスは爆発、属性は『神』。そして、軽くそして丈夫にできている。銃身はブラストクラスの『レーヴェカノネ』。装甲はシールドクラス『レーヴェシルト』でできているわ」

整備長の説明を聞きながらアレンはパーツを一つ一つ見つめて、顔に出さないが納得できる逸品だとほめていた。
かつて昔に『黒いヴァジュラ』と遭遇し、圧倒的強さに仕方なく撤退した時に手に入れたものだった。
今までその特殊な素材にレイン開発主任は色々試行錯誤していたものだが、まさかこのタイミングでできるとは思っていなかった。

「さっそく、これをあなたの神機に装着させるわね」

「頼む」

アレンはそう言ってその場から離れようとして、ふっと何かが前を横切ったように思えた。
すぐさま周りを見渡すが、その何かを見つけることができず、気のせいかとその場から離れた。

「・・・あら?まただわ・・・しょうがないわね」

整備長はやれやれと机の上に置かれていた『銀色の神機』を整備棚に置いた。
前までなかったはずなのに・・・・。



「・・・あれ?」

雪風は首をかしげてポケットの中を調べていた。

「おっかしいな・・・確かに入れたはずなんだけどな・・・・」

雪風が探しているのはアクセサリーだった。
このご時世、たががアクセサリー一つでも高値で取引されており、雪風もお金を貯めてやっと買えたお気に入りの物だった。

「あ~ぁ、前の任務で落としちゃったかな?高かったのにな・・・」

とぼとぼと肩を落とし、自分の部屋に戻ろうと歩き出した。
すると、いきなり右手に冷たいものが当てられた。

「ヒャッ!!」

雪風は小さい悲鳴を上げて、恐る恐る右手を見た。
その手の中には・・・・無くしたと思っていたアクセサリーが握られていた。

「え、あ、アレ?」

見つけたことの喜びよりも、持っていなかったハズの手の中になぜアクセサリーがあるのか疑問で仕方なかった。



「あ、あの~」

シスは配給係の人に恐る恐る声をかけた。
配給係の人は無関心にシスを眺めるだけだった。

「私、まだ今日の配給品もらっていないのですが・・・・」

配給係の人は『チッ』と舌打ちをしながら一応書類を確認する。
ついさっき、配給品を渡したはずなのだが・・・。
書類には確かに渡したとなっているが、受取人の名前が違っていた。
配給係の人はしばらくそのサインを見て、何かを思い出したかのように顔が青ざめた。

「あ、あのどうか・・・」

配給係の人は配給品をシスに渡し、さっさと奥へ向かった。
まるで逃げ出すかのように・・・・・。

更新日:2013-03-04 01:23:39

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