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変態と異動とプロローグ

突如現れた未知の生命体『アラガミ』。
ありとあらゆるものを捕食し、その力を取り込む性質のある驚異的な生命体は現兵器を使っても倒すことが出来ない。

ただ、『神機』と呼ばれるアラガミ因子を用いた兵器を除いて。
そして、その『神機』を扱い、アラガミを駆逐する者をこう呼ぶ。

『god eater(ゴッドイーター)』



廃墟となった街の上空を一台の狼のシンボルが描かれているヘリが飛んでいる。

「ったく、毎度毎度あの野郎俺らをコキに使いやがって、ふざけんなよ」

「仕方ないよ。それがあたいらの仕事だし」

ヘリの中に乗っている機嫌の悪そうな大男をギャルのような女性が慰めている。
ここにいる運転手を除き、全ての男女が手首に赤い腕輪をしている。
そして、後ろにはそれぞれの武器である『神機』が置いてある。
そう、このヘリは『god eater』たちの移動用のヘリなのだ。

「クソッたれが!どうせ雑魚どもを一掃しろってんだろ!?んなメンドイ仕事ほかの奴らに任せろよ!!」

大男はわめきつつ、暴れだした。

「・・・・おい、任務お前らだけでできるか?」

サングラスをかけ、上半身裸の少年が外を眺めながら突然、全員に問いかけてきた。
そして、ヘリの中は爆笑に包まれた。

「ブッハッハッハ!!おま、お前、ビビッてるのか!?チビってンのか!?だったらさっさとかえってママに甘えて来いよ!」

「OK」

少年は立ち上がり後ろから自分の『神機』を取り出した。
その『神機』には巨大な鉄板のような大剣『クレイモア』が装備されている。

「おいおいおいおいっ!何処に行くんだよ!?」

「何処って、チビりそうだから外へ小便して、帰ってママに甘えてくる」

少年はそれ以降振り向きもせず降下用の部屋に入り、ヘリのハッチを開けた。
突如と暴風が彼を襲うが、彼はまるで遊びに行く子供のように笑顔を作りながら、走って飛び出した。

「I can fry!!!!」

そう叫びながら・・・。



その頃地上では。

母親と5歳ぐらいの娘が廃墟の街を必死で走って・・・いや、逃げていた。
二人の後ろには白い狼のようなアラガミ『オウガテイル』3匹が二人を捕食しようと追いかけていた。

「マヤ!こっちよ!」

母親は愛娘の手を引いて裏路地に逃げようとした。
しかし、オウガテイルの一匹が二人を飛び越え、前方に立ち塞がった。
前後に囲まれた母親はせめて娘は守ろうと娘を抱きしめた。
そして、前方にいた一匹のオウガテイルが巨大な口を開き、二人に襲った。

「GO to HELL!!」

突如として上空から上半身裸の少年が降ってきてそのままオウガテイルの体をクレイモアで轟音を放って叩き斬った。
斬られたオウガテイルは地面にめり込みながら一瞬で絶命された。

「イテテテ、足痺れた〜」

少年は足をぶらぶらと振りながら親子のそばへと歩み寄った。

「Hey!大丈夫か?美人な親子さん」

「あ、あの。あなたは?」

「俺?見てわかんない?ただの『変態』だよ」

自慢げに堂々と言い、オウガテイルの前に立ちふさがった。

「おい、お前ら女性を襲うんなら俺も誘えよ!それとも、俺に可愛がって欲しいのかな?」

ニタリと笑う少年に対し、オウガテイルはグルルルと威嚇していた。

「Are you ready?」

少年はクレイモアを構えた。
同時に二匹のオウガテイルが少年に襲い掛かった。

「GO!」

少年は襲ってきたオウガテイルをブンとクレイモアを横に振り回し、一匹は叩き切られ、もう一匹は壁に強打し、絶命した。

「んだよ。もう終わりかよ?」

少年は不満そうに剣を肩に乗せ、歩き出した。

「ほら来いよ!安全でセクシ〜な避難所まで連れてってやんよ」

親子は一気に笑顔になり、彼の後を歩き、避難所へと向かった。


余談だが、無事に避難所に着いた瞬間、他の『god eater』達にフルボッコにされ、
『女性にて出した』
『あんな小さい子まで手を出した』
『いや、あれは子供を産ませたんだ!』
などないこと言われ、少年は『まだ、してない』と意味深げな一言を残し、意識を失った。


この少年は『god eater』たちの間では有名な人物だ。
コードネームは『Force』
強いわけでも特殊能力があるわけでもない。

ある意味で危険な『変態』として・・・だ。

更新日:2013-03-04 01:11:36

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