• 3 / 8 ページ
「儂は儂のしたい事をしておるだけじゃ! 何が悪い?」
 胸元に手を置き、こゆずは首を傾げる。
「どんな悪さをしました?」
 小天狗は短い手足を器用に絡め、考えるような仕種をする。
「儂は悪うないぞ。ただ腹が減って家畜を食うたり、通り道の畑が邪魔だったゆえ潰してやったりしたの。儂の邪魔をして歯向かうほうが悪いのじゃ」
 こゆずはふぅと嘆息し、紙人形を指先に挟んだ。
「分かりました。やはりあなたは封じなければいけないようです。千歳丸さん、抑えておいてください」
「おうよ」
 千歳丸が小天狗を捕まえようとしたが、小天狗はひらりと身をかわした。そしてからかうように千歳丸の頭の上に立つ。
「てめっ……!」
 見た目通り、体重はさほど重くはないのだろう。それに背の羽根をパタパタと動かしている。貧小な羽根ながらも、多少は浮遊できるらしい。
 千歳丸はギリギリと歯軋りしながら、頭の上に腕を伸ばす。しかしその腕からも、小天狗は身軽な動作で逃げ回っている。半ば自棄気味に千歳丸は腕を振り回す。
「せっかく封印が解かれたというに、またおとなしく封じられるような儂だと思うてか? ちょうど体がなまっておったところじゃ。遊んでやるから儂を捕まえられるものなら捕まえてみぃ!」
「ンだとこら! 人の頭の上に……くそっ!」
 千歳丸が天狗の足を捕まえようとするが、天狗はまたもひらりと飛んでかわす。そして思いっきり舌を突き出した。あまりにも単純な挑発だが、単純思考の千歳丸の頭に血を昇らせるにはそれで充分だった。

更新日:2013-02-28 17:48:27

  • Twitter
  • LINE
  • Facebook