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旧校舎のディアボロス 第5話 リアスside

「リアス! 彼を拾った公園から堕天使の気配がするわ。近くには悪魔の気配も……」
「何ですって!?」

私は慌てて、転移魔法陣を用意して公園に飛んだ。
おそらく、堕天使の近くにいると言うのは、昨日眷属にした彼ね。
彼はまだ成り立てだがら、悪魔のこともそのルールも何も知らない。
公園に転移して探すと、彼は堕天使に攻撃されていた。
堕天使が光の槍を構え、私が彼を見つけた瞬間、それを振るった。
間に合わない!
次の光景を見ないよう、硬く目を閉じた。

「なにがっ!?」

聞こえたのは、堕天使が困惑する声だった。
恐る恐る目を開けると、彼が堕天使の槍を持った腕ごと脇に抱え込み、反対の拳で顎を殴っていた。
殴った拍子に抱えていた腕を放し、堕天使はよろよろと後退した。

「き、貴様ぁぁぁぁ! 許さん! 許さんぞ! 一思いには殺さぬぞ! 痛めつけ苦しみながら、殺してくれと懇願するまで苦痛を与え続けてやる!」

堕天使の顔が憤怒に歪んでいる。
いけない。このままでは本当に彼が殺されてしまう!

「そこまでよ! これ以上、彼に触れることは私が許さないわ!」
「真紅の髪……ちっ! この地の管理者、グレモリー家の者か」

堕天使は私の正体に気付くと、憤怒に歪めていた顔を忌々しげに歪めた。

「一応名乗らせてもらうわ。グレモリー家次期当主リアス・グレモリーよ。堕ちた天使さん。彼に手を出すなら容赦しないわよ!」
「これはこれは……彼はそちらの眷属だったか。主の名を言わないので『はぐれ』と勘違いしてしまったよ。そういえば、この町もグレモリー家の縄張りだったか」
「悪いわね。彼はまだ成り立てだから、ルールがわかってないのよ」
「そうか。ではしっかりと叩き込んでおくことだ。私のような者が散歩がてらに狩ってしまうかもしれんからなぁ」
「ご忠告痛み入るわ」
「では、ごきげんよう。グレモリー家の者よ。我が名はドーナシーク。もう合間見えないことを願う」
「ええ、コチラこそ」

ドーナシークは話を終えると黒い翼を羽ばたかせ夜の空に消えた。
ふう……堕天使が思ったより冷静で助かったわ。
成り立ての悪魔に反撃を受けたなんて、逆の立場だったら怒り狂いそうだもの。
特に男って言うのは、種族を問わず面子とかプライドを気にする生き物だっていうし……
それにしても、まさか悪魔になって1日しか経っていない彼が一撃入れられるなんて、予想以上にいい拾い物をしたようね。

「もう大丈夫……って、あれ?」

周りを見回しても、彼の姿が見当たらない。
もしかして、私が堕天使と話してる間に逃げた?

「信じられない……助けに来た私を放って逃げ出したって言うの!?」

普通、か弱い女性を放って逃げる?
実際あんまりか弱くはないけど、彼はそんなこと知らないはずだし。
これでも『学園のアイドル』とか『2大お姉さま』とか呼ばれてるくらい人気あるのよ?
男なら身を徹して守ろうとするものじゃないの!?
まったく、いい意味でも悪い意味でも規格外だわ……

更新日:2014-02-15 20:07:59

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