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旧校舎のディアボロス 第9話

「とりあえず、グレモリー先輩達が悪魔だって事はわかりましたけど、俺もそうなんですか?」
「ええ、そうよ。貴方を悪魔にしたのは私だもの」
「事情を聞いても? まさか意味もなく俺を悪魔にしたわけじゃないですよね?」
「ええ、もちろん。あなた、一昨日の事をどこまで覚えてる」

一昨日…嫌な日を思い出させてくれる。
一昨日といえば、天野(クソアマ)に殺された日じゃないか。

「ある女に腹を刺されて殺される夢を見ましたが、俺は夢だと思ってません。なぜか生きていますが……」

殺される夢を見たのに夢だと思えない。しかし、それならなぜ俺は生きている?
矛盾している。もしかしてその矛盾は……
あることを確信して視線をグレモリー先輩に合わせた。

「察したようね。そう、貴方はあの時死んだ……いえ、正確には死ぬ一歩手前だった。そこに、小猫が呼び出され、彼女を中継して貴方を助けた」
「そして、俺は命を助かった副作用か何かで、悪魔になったと?」
「正解よ。人の技術ではもう手の施しようがなかったから。て言うか、小猫が貴方に呼び出された時点で死んでてもおかしくなかったわ」
「そうですか……」

そっか。俺はやっぱりあの時死んだのか。
ますます天野(クソアマ)への恨みが増したな。いつか仕返ししてやる……

「グレモリー先輩、小猫ちゃん。俺を助けてくれてありがとうございます」

俺はその場で頭を下げた。
悪魔にされたとはいえ、こうして生きていられるのは俺を見つけてくれた小猫ちゃんとグレモリー先輩のおかげだ。

「……仕事をしただけです」
「どういたしまして。と言いたいけど、こちらも打算なしにしたわけじゃないから、そこまで気にしなくてもいいわ」

小猫ちゃんは若干頬を赤らめている気がする。ストレートな言葉に弱いのかな?
グレモリー先輩は……うん。同じく頬を赤らめているけど、打算ってなんだろうね。
妙なことじゃなきゃ良いけど……

「リアス。そろそろ本題に入ってもいいじゃない?」
「え、ああ、そうね。で、イッセーは悪魔になったわけだけど、昨日の男のことは覚えてるわね?」
「はい。黒いスーツに黒い翼を生やした変態のことですね」
「変態って……まあ、いいわ。あれは堕天使よ。元々は神に仕えていた天使だったけど、邪な感情を持ったために、冥界に堕とされた存在よ。私たち悪魔の敵でもあるわ」

悪魔の敵、堕天使か。
ちょっと前なら、堕天使なんで冗談だと思うけど、悪魔が実在するなら堕天使が居ても不思議じゃない。
悪魔と敵対してるってのは意外だけど……
どっちかって言うと、同じ地獄に住むもの同士仲が良さそうなイメージがある。

「悪魔と堕天使は太古の昔から争っているわ。冥界……人間界で言うところで『地獄』の覇権を巡ってね。地獄は悪魔と堕天使の領土で二分化しているわ。悪魔は人間と契約して代価をもらい、力を蓄える。堕天使は人間を操りながら悪魔を滅ぼそうとする。ここに神の命を受けて悪魔と堕天使を問答無用で倒しに来る天使が加わって三すくみ状態になるの。それが大昔から繰り広げているのよ」

えーっとつまり、領土の取り合いをしてる悪魔と堕天使がいて、そこに2人とも死ね!と言って天使が混ざるのか。
混沌(カオス)だなー。
天使もどうせなら、悪魔と堕天使のうち、勝って弱っている所をすぐに叩けば楽勝なのに……

更新日:2014-02-15 20:35:16

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