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蘇る




また朝が来た。
昨日休んだおかげか、気分は少し良くなった。

学校、行かなきゃ。




足音を立てないように玄関まで歩いて
靴を履いて外に出た。


流れる空気が冷たい。
いつの間に、もうすっかり秋だ。




急ぐ気は起きなくて
川沿いの道をのんびり歩いてた。

秋の空が壊れたあたしを見下ろしている。
陽が出ているはずなのに冷たい風の中。


こんな季節も、嫌いじゃないけど。





学校に着いて
校舎の時計を見たら9:05を示していた。

1時間目、始まってる。




『居るかな・・・・』




そんなことを思いながら
上を見上げた。

屋上、行こうかなって。



でも




「瀬川?」



その声を聞いて振り返った。



「あ、先生・・・・」



「大丈夫だったか?
 昨日も休んでたし、一昨日も早退したって聞いたけど。」



「はい。その、すいませんでした。」



「いや、治ったならいいんだ。
 今授業やってるから。行きな。」


「・・・・分かりました。」



あたしがそう言うと担任は少し微笑んで
またどこかへ行ってしまった。



授業の気分じゃない。



何気なく取り出した携帯を見ると


【 新着メール 1件 】


・・・・大智か。

昨日は、ほぼ一日中ベットの中だったから
携帯なんて見ていなかった。




「何・・・?これ・・・・・」


内容は



<女子達に何言われても信じるなよ。気にしないでいい。>




大智にしては素っ気のないメール。

それに、意味が分からない。





これから

何か言われるってこと?




そう思うと、急に寒気がした。








分からないけど

嫌な予感がしたんだ。












更新日:2013-05-02 20:13:42

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