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小説

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忘れろ





鞄を持って家を出る。
辺りはまだ暗いけど学校に向かう。


あたしの中の何かが
壊れ始めている気がする。

頼れる人がどんどんと闇に消えていく。

誰を信じればいいのかさえ
あたしの目では見分けることができない。





「おはよー、朝奈ちゃん」


「おはよ。」



いつもと変わらないゆきの表情。



「どうしたの?ぼーっとしちゃって。」



この子は大智と付き合っているわけじゃないってこと
それはもう分かってる。
何の証拠もない憶測だけど、ほぼ間違いない。


問題は何でそんな嘘をつくのかだ。
普通の人間なら自分に利益のない嘘なんてつかない。
じゃあ何のために?
それは昨日の夜いくら考えても分からなかった。





「全員、早く席に着きなさい。」





担任の声も遠くに聞こえる。




「今日は昨日連絡したとおり
 全生徒が学園祭の準備に取り掛かる時間です。
 3-7のクラス発表はカフェをやろうということなので
 リーダー中心で動くように!」



バタバタとし始めた教室を無視して
あたしは席に着いたまま、机に顔を伏せた。

今は盛り上がれる気分じゃない。



「朝奈ちゃん?寝てるのー?」




ゆきの声がしてまた顔を上げた。




「体育委員は別教室に集まるんじゃなかったっけ?」



「あ、そっか・・・・

 行ってくるね。」



騒がしい空気と
どこか気を遣ってしまうゆきの元から離れて
ひとり、廊下に出ると



「こっち」





大智に後ろから優しく背中を押された。









更新日:2013-04-18 19:04:31