• 作品を探す:

小説

携帯でもPCでも書ける!

  • 52 / 104 ページ

記憶



---- 隼人Side ----




忘れたなら思い出す必要はないと思ってる。




俺がこいつの記憶から消えたのは
こいつが忘れたいと思ったからだ。

思い出してもまた傷つくだけだって
奥山の言ってたことは正しい。




なのに『思い出したい』なんて

今更迷惑だ。

散々、知らない人でいたくせに。

あれから半年間

ずっと。




♪♪♪~~



チャイムが鳴って

自分から扉の方へ歩いて行った。

言葉を交わす必要も

目を合わせる必要もない。

苦しいことはしない。




「あの・・・・」



俺を呼びとめる声が

弱々しくなっているのには気づいていた。

それでも、振り返らなかった。



振り返れなかった。





階段を下る。

いつもなら後ろから着いてくるはずの足音はなかった。





もう来ないことにしようと

ひとり、心に決めた。




更新日:2013-03-31 15:43:51