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2.3 中国のCopy Krade




Last warning coming out of its lab,
rats in experiment goes to get out of sights of scientists but caught and caged and exmerinmented,
over and over and over,










 <俺>が石川さんと共に外の様子をうかがっている時だった。一台の車が家の前に泊まり、監視カメラに映る監視者2人がそちらに視線を向けた。
 そこにいたのは割と体の大きい、細身の男の姿だった。顔立ちの雰囲気から暗くて分からないが、例の双子の弟だろう。
 石川さんは彼と面識がちゃんとあるので、「鉄…」と呟いた。俺は言われた通り、彼女の持っている荷物と自分の少しだけの荷物を、運転手がいなくなった車の中に素早く運び込み、石川さんにエンジンをかけるよう促した。

「鉄は…」


「来たぉ~」


 車のエンジンをかけ、その目的地を設定する数分間の間にすべての事は遂行されていた。

 俺もさすがに驚き慄いた。
 驚く感情などなかったはずだが、どうもこの男の姉に関係することで俺ははいろいろ感情をかき乱される運命にあるようだった。案の定すぐに携帯電話に着信があり、応じると、軽快な声が響く。




『鉄死んでない?』

 第一声が弟の心配だったことに少し落胆しつつ、あぁ、と答えてやると、やっぱりね、よかったとだけ彼女はもらした。

『で、海里も石川さんも無事ってことでしょ。良かった…』


「この弟、一体何をしたんだ」

 かなりの早さで戻ってきたことを伝えると、彼女は小さな笑い声を洩らしながら、これが蒼の力だよ、と言って沈黙した。もうこれ以上自分から語ろうという気はないらしい、むしろ弟に聞け、と言っているのか。とにかく俺は今連絡を取り続けるべきではないと思い、じゃあな、と軽い声をかけ、そのまま通話終了ボタンに手をかけた。










『---待って』



 通話口から、別な女の声が耳に飛び込んでくる。すぐにわかる、彼女以外のもう1人の女…理音だ。
 理音は何かを伝えたそうなので、俺もそれをそのまま聞く体制に入る。すると彼女は中国語ですらすらと事情を述べ始めた。


『(おそらくは貴方の関係者が強力なコピークレイドになって日本に入ってきたようだわ)』


「(なんだって…!?)」


『(私の推測が当たらないといいんだけど)』


「どういう意味だ」









『(貴方の愛しのリーシャが、もしかするとその実験台になったりしてないかと考えてしまっただけ)』





 俺は思わず通話終了のボタンを強く押し、携帯を鉄のほうに投げつけた。事情を知らない彼は首をかしげ、眉をしかめて不思議そうにこちらを眺めているが、あえて反応する必要もないので無視をする。すると器用にも鉄は、その携帯をこちらの、俺の左胸のポケットに投げ戻し、そのまま後部座席に深く腰をかけた。


「ねぇ石川さん~俺が運転しようか?」

「いいわよ、次のSAで交代してくれる?」

「りょー」


 気軽な会話が繰り広げられる中、俺は心の中に生まれる大きな感情の波をおさえるので精一杯だった。





---リーシャが、クレイドになって、日本に来ている…だと?










 

更新日:2013-06-06 00:03:18

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