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§ 友

 次の日、私は加奈ちゃんに会いました。
エスピウェールは、給料を貰った後、ちょっとリッチな気分のときに行くレストランです。
勤めていた頃は夜に行くことが多かったのですが、昼食もランチメニューがあって慣れたところです。
ブラウンベースの色調に統一された落ち着いた雰囲気のレストランです。
 加奈ちゃんは先に来てテーブルについて待っていました。
私の顔を見ると、加奈ちゃんはニコッと笑って手を挙げ、直ぐに席に着くように促しました。

「 はい、座って座って!」
「 まだ、12時には10分あるわよ。
 急がない、急がない。」
「 お腹空いたよぉ~。」
「 相変わらずね。」

 私は席に着き、話し始めると二週間の内にこんなにも色々なことが起こっているのかと言うくらい事件が起こっていました。
もっとも、事件といっても、失敗談や噂話で警察のお世話になるようなことはありません。
昼食を食べ終わって、食後のコーヒーを飲んでいるとき加奈ちゃんが言いました。

「 高木さん、もう、笑ってしまうわ。」
「 遅刻の常習者の高木さん?」
「 そうよ、目覚まし時計の電池が切れていた例の高木さん。
 一週間に二回も電池が切れることってある?」
「 ないない。」
「 それで、前置きがあるのよ。
 お昼に食堂で、総務の女の子三人で話をしてたのよ。
 その時、駅で見た変な人って話になったの。
 私、前に見た人の話をしたわ。」
「 どんな人?」

更新日:2009-02-07 14:07:30

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