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小説

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中途半端といえば中途半端だが、ミノとテミンはぬるま湯に浸かっているような心地よい関係が続いていた。

平行線のような関係。
交わらないけれど、離れることもない。

骨折した手が使えるようになって、気が付けば11月の半ば。
ただこのまま、こんな穏やかな日々が続いていけばいい。

ミノ、そしてオニュ、ジョンヒョン、キボムもそう思っていた。


その日はいつもよりも少し肌寒くて、そろそろ冬物の用意を始めようかとジョンヒョンは朝からクローゼットから洋服の出し入れを繰り返し、その隣でキボムは洋服の仕分け。
リビングではオニュとミノが呑気にコーヒーを飲みながらテレビを見ていた。

今日は午後からの仕事なので時間に余裕がある。
しかし10時を過ぎてもテミンが起きてくる気配はなく、時計を見たオニュは呆れたようにうんともすんとも言わないテミンの部屋の方向を見た。

昨晩、キボムに怒られるまで最近夢中になっているゲームをやっていたらしいので、自分から目を覚ますにはもう少し時間がかかるかもしれない。
とはいえもうそろそろ起きてもらわないと困る時間だ。

「…仕方ないな、起こしに行くか。」

マグカップをテーブルに置いて立ち上がろうとすると、ミノが「どこ行くの?」と聞いてきた。

「ちょっとテミン起こしてくる。あと1時間で出ないといけないし。」

「それなら俺が行くよ。」

さっと立ち上がりオニュの脇をすり抜けるようにしてドアの向こうに消えたミノは、薄暗い部屋に入りカーテンを開ける。

「ミノヒョン…?」

「なんだ、起きてたのか?」

ベットに近付き顔を覗き込むと、テミンがクスっと笑った。

「早くご飯食べないと時間なくなるよ。」

「うん…。ヒョン、起こして」

両手を自分に向かって伸ばされ、ミノは子どものようなその仕草に苦笑してテミンの細い手首を掴む。
勢いよく自分の方へ引き寄せると、「わっ」と言ってテミンが自分の腕の中に納まった。
恥ずかしがって身を引くと思ったのに、テミンは安心したようにそのまま胸に頬を寄せる。

「ミノヒョン、少しだけこうしてていい…?」

珍しい。
テミンがこんなに甘えてくるなんて。

「いいよ。」

優しくそう答えて、ミノは柔らかい髪をそっと撫でた。


更新日:2013-03-02 16:24:37

夢がさめたら 【君と過ごした最後の夏 続編】