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小説

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今度は僕が

3日後、仕事を減らすという条件付きで、テミンの退院許可が下りた。

もうすぐ9月。
夏も終わって秋になろうとしている。


少しも声が出ないテミンを気遣うようにミノができる限り側にいるので生活に不自由はないが、できる仕事が限られてしまっているので宿舎に一人取り残されることも少なくない。

宿舎でも仕事先でもミノはテミンの通訳係のようで、何か言いたいことがあるとテミンがミノの側に行き肩を叩いたり袖を引っ張ったりして自分の方を向いてもらう。
息しか出ない囁き声でも、ミノにならだいたいのことは一度で伝わるから不思議だ。

今日も移動車の中で、ミノの太ももに置いた手を軽く揺する。

「ん?」

口を開きかける前にミノが顔色を見て「酔った?」と聞くと、テミンは力なく頷いた。
昨日の夜も遅くまで仕事だったので、疲れていた身体が工事中の道でしばらく揺らされたせいで車酔いをしてしまったらしい。

「少し休む?」

テミンは大丈夫だと首を振る。
休みたいわけではなくて、ミノの肩を貸してもらいたかっただけだ。
肩に頭をことんとのせると、テミンは静かに目を閉じた。

今はまだミノのことを兄としてしか見ることができないけれど、誰よりも一緒にいると居心地がいい。

優しいミノは、いつもずっと側にいてくれる。
好きということがどういうことなのかもはっきり分かっていなテミンは、悪いとは思いつつもただミノの優しさに甘えていた。


今日の仕事はジョンヒョンとミノとテミンの3人。

スポーツ好きのアイドルが集まったバラエティー番組の収録で、ミノは普段からレギュラーとして出演していて、ジョンヒョンとテミンはゲスト出演だ。
とはいっても実際に仕事らしい仕事をするのはミノだけで、ジョンヒョンとテミンはただ応援をすればいいらしい。
コメントは全てジョンヒョンに任せるのでテミンは座って見ているだけでいいとマネージャーに言われ、それならと引き受けた。

「テミン、着いたよ。」

ミノに促されて車を降りて入ったスタジオは、まるでどこかの体育施設のようだ。

(すごい…。これ跳ぶのかな……)

ミノに言われた場所にジョンヒョンと座ったテミンは、目の前に高くそびえる跳び箱を呆気にとられたように眺めた。


更新日:2013-02-14 10:16:16

夢がさめたら 【君と過ごした最後の夏 続編】