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小説

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二人部屋

病気が完全に治ったわけではないテミンの体調は、日によってかなり差がある。
調子が良ければ何てことはないが、無理をさせるとすぐに熱を出すし、疲れてくると顔色が悪くなり長時間の仕事が続かないことも多い。

「そんなすんなり良くはならないか…」

ここ2、3日微熱が続いているせいで休み休みでないと仕事ができないテミンの寝顔を見ながら、ジョンヒョンが移動中の車の中で呟いた。

「でもさ、半分は気疲れだよね」

キボムの言う通り、なかなか慣れない仕事を次々にこなさなければならないので、体力よりも先に精神的に疲れてしまう。

「…そろそろ着くから起こさないと」

オニュが言いにくそうにそう言うと、ジョンヒョンがそっとテミンの肩を揺すった。
眠りが浅いので、すぐに目を開けてジョンヒョンに顔を向ける。

「もう着くって。大丈夫?」

「うん…」

決まり文句の「大丈夫」が、最近はどうも威勢が悪い。
ファンが入り待ちをしている仕事先に向かう途中となれば尚更だ。


音楽番組の収録のために訪れたコンサート会場の楽屋口。
相変わらず大勢のファンが、今か今かと目当てのアイドルや歌手が楽屋入りするのを待っている。

車の中からその様子が見えた途端に顔を強張らせたテミンを見て、ジョンヒョンはキボムと顔を見合わせた。

応援してもらえるのは本当にありがたい。
でもできることなら、叫ぶように名前を呼ばれるだけでも怖がってしまうテミンが慣れるまでの少しの間だけ、そっとしておいてはもらえないだろうか。

とはいえまさかそんな我がままが通るはずもなく、今日も車のドアを開ければ耳が痛くなるほどの黄色い歓声が上がった。
絶叫するファンから少しでも遠ざけようと、ジョンヒョンとキボムが愛想よくファンサービスをしている隙にオニュがテミンの肩を抱いて足早に楽屋へ向かう。

遅れて楽屋に入ったジョンヒョンがテミンを見ると、さっきまでは熱で少し頬を赤く染めていたはずの顔がすっかり青ざめてしまっていた。

「オニュヒョン、どっか空いてる部屋知らない?」

スタイリストや会場のスタッフがせわしなく楽屋を出入りしているせいか、しばらく背中をさすっても顔色が戻らないテミンを見て、ジョンヒョンが別の部屋に移って休ませたいと言う。

「ちょっと待ってて。マネヒョンに聞いてくる。」

そう言ってオニュが席を外しているマネージャーを探しに楽屋を出て行くのを見届けると、ジョンヒョンはテミンに向き直り「リハーサルさぼるか」と笑った。


更新日:2013-01-26 23:16:55

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