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第7話『再会と離別』
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「『神薙 遊真』さん、D-ホイールライセンス発行しました」
セキュリティ本部の交通課を訪れた遊真は、係の女性から自身の顔写真が貼り付けられた免許証を受け取った。
「……ありがとう」
「いえいえ。 あっでも、神薙さんは牛尾さんの推薦での取得なので、特別ですからね」
「勘違いして、他の人に言っちゃだめですよ?」と念を押してくる。
遊真は頷くと、交通課の扉から外へと出る。
「おっ遊真! ライセンスはちゃんと貰えたか?」
廊下へ出るなり話し掛けて来るのは、橙色の髪をツンツンに立てた少年。
両目の下に、雷に似たマーカーが刻まれている。
「……あぁ、この通りだ」
ツンツン頭の少年に、遊真は渡された免許証を突きつけた。
少年は笑みを浮かべると。
「これでお前も立派なD-ホイーラーだな!」
と言って遊真の首を軽く締めてくる。
締めるとは言っても、苦しくはなく、少年に敵意があるわけではない。
「クロウ、遊真が迷惑そうにしてるぞ」
「なわけないじゃんかよ遊星」
クロウと呼ばれた少年は、角のような髪を持つ黒髪の青年を遊星と呼んだ。
「なぁジャック?」
クロウは、壁に寄りかかった長身の男をジャックと呼び、話し掛けた。
「お、俺に話を振るな!」
急に呼ばれたジャックは、慌ててそう言うと、そっぽを向いてしまった。
遊星は肩を竦めると、遊真に視線を向けた。
「大きくなったな、遊真」
「……遊星さんもお元気そうで何よりです」
そう言う遊真の瞳は、いつになく輝いていた。
「なんだよ遊真。 俺とジャックには挨拶なしかよ?」
そう言いながら、クロウはグリグリと遊真のこめかみ辺りを刺激してくる。
遊真はそれを迷惑そうに見ながら。
「……ジャックとクロウも久しぶりだな」
と、素っ気なく返した。
「なんで遊星には『さん』付けで、俺とジャックは呼び捨てなんだよ!」
「クロウはまだしも、何故この俺まで!」
うがー、と声を上げる二人を横目に遊真はクロウから離れ、遊星に近付いていく。
「俺のカード、まだ使ってくれているみたいだな」
「……当たり前じゃないですか……。 皆、俺の相棒です」
遊真がそう言うと、遊星は微笑んで「そうか」とだけ答え、遊真の頭を撫でた。
遊真は、嫌な気分にはならなかったが、なんだか気恥ずかしくなり、その手を払いのけた。
「……子ども扱いは止めて下さい」
「済まない、昔のくせで」
苦笑する遊星は、遊真に謝罪すると手を引いた。
少し後悔する遊真だったが、もう遅いので何も言わない。
「しっかし懐かしいなぁ。 サティスファクション時代を思い出すぜ」
ようやく落ち着きを取り戻したクロウは、腕を組みながらうんうんと唸っていた。
「そうだな。 俺達4人に遊真が付いて来て、一緒に戦っていた」
思い出に浸るように、ジャックがしみじみと言う。
黙っている遊星も、目を閉じて思いを馳せているようだった。
「よーし遊真! どんだけ強くなったか見てやるよ!」
しんみりした雰囲気を打ち砕くように、クロウがそう言って、廊下を走り出した。
突然の提案に、遊真は唖然としていたが、遊星に肩を叩かれ、我に返った。
「フン……世話の焼ける奴だ」
ジャックはそう言いながら、クロウの後に続いて歩きだした。
「クロウとジャックも、遊真と会えて嬉しいみたいだ」
「……そう、ですか」
遊真は戸惑いながらそう答えると、遊星に促され、クロウ達の後を追った。
「『神薙 遊真』さん、D-ホイールライセンス発行しました」
セキュリティ本部の交通課を訪れた遊真は、係の女性から自身の顔写真が貼り付けられた免許証を受け取った。
「……ありがとう」
「いえいえ。 あっでも、神薙さんは牛尾さんの推薦での取得なので、特別ですからね」
「勘違いして、他の人に言っちゃだめですよ?」と念を押してくる。
遊真は頷くと、交通課の扉から外へと出る。
「おっ遊真! ライセンスはちゃんと貰えたか?」
廊下へ出るなり話し掛けて来るのは、橙色の髪をツンツンに立てた少年。
両目の下に、雷に似たマーカーが刻まれている。
「……あぁ、この通りだ」
ツンツン頭の少年に、遊真は渡された免許証を突きつけた。
少年は笑みを浮かべると。
「これでお前も立派なD-ホイーラーだな!」
と言って遊真の首を軽く締めてくる。
締めるとは言っても、苦しくはなく、少年に敵意があるわけではない。
「クロウ、遊真が迷惑そうにしてるぞ」
「なわけないじゃんかよ遊星」
クロウと呼ばれた少年は、角のような髪を持つ黒髪の青年を遊星と呼んだ。
「なぁジャック?」
クロウは、壁に寄りかかった長身の男をジャックと呼び、話し掛けた。
「お、俺に話を振るな!」
急に呼ばれたジャックは、慌ててそう言うと、そっぽを向いてしまった。
遊星は肩を竦めると、遊真に視線を向けた。
「大きくなったな、遊真」
「……遊星さんもお元気そうで何よりです」
そう言う遊真の瞳は、いつになく輝いていた。
「なんだよ遊真。 俺とジャックには挨拶なしかよ?」
そう言いながら、クロウはグリグリと遊真のこめかみ辺りを刺激してくる。
遊真はそれを迷惑そうに見ながら。
「……ジャックとクロウも久しぶりだな」
と、素っ気なく返した。
「なんで遊星には『さん』付けで、俺とジャックは呼び捨てなんだよ!」
「クロウはまだしも、何故この俺まで!」
うがー、と声を上げる二人を横目に遊真はクロウから離れ、遊星に近付いていく。
「俺のカード、まだ使ってくれているみたいだな」
「……当たり前じゃないですか……。 皆、俺の相棒です」
遊真がそう言うと、遊星は微笑んで「そうか」とだけ答え、遊真の頭を撫でた。
遊真は、嫌な気分にはならなかったが、なんだか気恥ずかしくなり、その手を払いのけた。
「……子ども扱いは止めて下さい」
「済まない、昔のくせで」
苦笑する遊星は、遊真に謝罪すると手を引いた。
少し後悔する遊真だったが、もう遅いので何も言わない。
「しっかし懐かしいなぁ。 サティスファクション時代を思い出すぜ」
ようやく落ち着きを取り戻したクロウは、腕を組みながらうんうんと唸っていた。
「そうだな。 俺達4人に遊真が付いて来て、一緒に戦っていた」
思い出に浸るように、ジャックがしみじみと言う。
黙っている遊星も、目を閉じて思いを馳せているようだった。
「よーし遊真! どんだけ強くなったか見てやるよ!」
しんみりした雰囲気を打ち砕くように、クロウがそう言って、廊下を走り出した。
突然の提案に、遊真は唖然としていたが、遊星に肩を叩かれ、我に返った。
「フン……世話の焼ける奴だ」
ジャックはそう言いながら、クロウの後に続いて歩きだした。
「クロウとジャックも、遊真と会えて嬉しいみたいだ」
「……そう、ですか」
遊真は戸惑いながらそう答えると、遊星に促され、クロウ達の後を追った。
更新日:2013-09-14 20:39:35