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第12話「結衣の狙い」

「久しぶりー」
「やばー懐かしー!」

とうとう始まった2学期。

なんとなく日焼けした人もいれば
なんとなく、背が伸びてる人もいる。

『今日から学校かー・・・』
「つってもあと18日でしょ?
 大事にしなきゃ」
『・・・うん』

学校に行くことは
別に、面倒だとも思わない。

ただ
学校でクラスを見ると、どうしても
現実に引き戻されるような気がして。

「お、久しぶりっ!」

陽気な笑顔で挨拶をされる。

・・・中原だ。

『久しぶりー』
「ま、一回会ってるんだけどな」
『・・・ああ、うん』

つい最近起こった、全ての出来事が
懐かしく思える。

ちょっと年寄り臭いけど
悟った気がする。

時って本当に
短いものなんだな、って。

「武田くーん。
 先生が、このプリント
 資料室に持ってけって」
「あー・・・おっけ」

・・・なんだか
遠いな。

すぐ隣の席にいる武田が
まるで、地球の裏側にいるような

そんな、気分。

「花梨。武田のこと見すぎ」
『えっ』

教室を出て行く武田を見つめてると
結衣に突っ込まれた。

『・・・そんなに見てた?』
「もーガン見」
『はっず・・・』

視界から外そうとすればするほど
どんどん、目が引き寄せられちゃう。

・・・あたしのばか。

「あー、そうだ花梨」
『んー?』
「あたしも資料室に
 用あるんだけどさー・・・
 おつかい、してくんない?」

不適に笑う結衣の魂胆は
いくらあたしでも、わかった。

『・・・わかった
 行ってくる!』

でも
このままじゃ、嫌だよ。

「頑張れ」

教室を飛び出すあたしの鼓動は
思ったよりも、落ち着いていた。

更新日:2013-02-07 19:38:37

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