• 作品を探す:

小説

携帯でもPCでも書ける!

  • 13 / 22 ページ

東白④

 翌日から、ボクの携帯には、先生からのメールが、ちょくちょく入ってくるようになった。


『絵文字をマスターしたんです』


 とか。


『今日の雲はすごいです。』


 とかいう、写真付きのメールも送られてきた。
 写真付きのメールは、ほとんどが空の写真で、どれもこれも、素敵な写真だった。




 それから数日後。
 ボクは、約束の食材処理の話を実行するため、翌々日の日勤の日に先生を誘おうと、メールを送ろうと思って、ハタと手が止まった。


 その日は、クリスマスイブだったからだ。


 一人のクリスマスイブなんて、寂しいなぁ。先生は、さすがにヒマじゃないだろうか?…とりあえず、誘うだけ誘って見ても、いいだろうか?



 ボクは、先生にメールを入れた。


『先生。明後日、クリスマスイブですが、ボクは17:00にあがります。もし先生に時間があったら、ご飯を食べに来てくださいませんか?』


 すぐにボクの携帯が鳴った。先生からの返信だった。


『行きます。』


「うわぁ…。」


 たったそれだけの、短い文章だったけれど…。その後すぐにまた、先生からメールが入った。


『何時に行けばいいですか?私はその日、午前中で研究所を出る予定です。』



「わぁ…。」



 ボクは、すぐに返信した。



『時間がわかったら、またメールします。一人寂しくクリスマスイブを過ごさずに済んで良かった。』



 またすぐに返信が来るかと思っていたのに、先生の返事がきたのは、1時間も過ぎてからのことだった。



『そんな日に、私を思い出してくれたことが喜ばしく思います。クリスマスイブは、キミたちくらいの子にとっては、特別な日なのでしょう?私のようなものを誘っていいんですか?本気にして、出向いてしまいますけどね。 市井』


「ぷっ…。」


 先生って、面白い人だなぁ。



『本気ですから、来てください。クリスマスこそ、一人用の食材なんて、売っていないですから。』


 
 そのメールには、すぐに返事が来た。



『ケーキは買って行きますよ。』


「うわぁ。」


『ありがとうございます。ではまた、メールします。』



 ボクは、それから翌々日まで、仕事中もずっと、クリスマスに何を作ろうか、そのことばかりを考えていた。


 クリスマスイヴは、駅長が気を利かせてくれて、16:00に上がってもいいよと言ってくれた。だったら、翌日8:00に出勤しますから…と言って、駅舎を出た。
 ゆみさんが働くスーパーに寄って、考えていたメニューの食材を買った。先生は、お酒に弱いということだったけれど、今夜くらい、少しならいいだろうかと、シャンパンを1本、カゴに入れた。


「あら!シロちゃん!彼女でも来るの?!」

 レジにいたゆみさんが、レジ打ちをしながら、ニヤリと笑った。

「え…いいえ、えっと…」

 先生を、友人と称していいものだろか?と、悩んで口ごもっていると

「離しちゃダメよ!ホント、駅員なんて、出会いがあるようでないんだから。」

と、ゆみさんに言われた。

「あ、これ。おまけね。」

 ゆみさんが、ケーキ皿を2枚、カゴに入れてくれた。

「あ。ありがとうございます。」
「お店から、クリスマスプレゼントだって。ホントは一人一枚なんだけど、もう一枚は私からね。」

 そう言って、ウインクされた。

「あ…。ありがとうございます。」

 本当にゆみさんは、『いいお母さん』という感じだ。



 急いで家に帰って、先生にメールを入れた。


『今から料理を作ります。18:00過ぎ頃に来てください』


 そう送ると、先生からすぐに返信が送られてきた。


『私もお手伝いさせていただきたい。支度が出来次第、そちらに向かっていいだろうか?』


「え…。」

 それは、嬉しい申し入れではあるけれど…。先生、お料理出来ないんじゃあ…?でも、先生のその厚意は、とても嬉しい。ありがたく、頂戴することにした。


『ありがとうございます。待っています。』


『すぐ、行きます。』


 そう、先生からメールが送られてきたものの、先生が来たのは、それから1時間近く後だった。

更新日:2012-12-27 23:50:28