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現実



はっと



目を覚ました。




「・・・夢か・・・・」




あれから毎日見る悪夢。

その内容は現実のもの。

2カ月前、本当に起こったこと。

私に降ってきた不幸。




お父さんは私が中3の終わりごろから入院していた。
事前に、もう長くはないと宣告されていた。
あの時は本当に驚いた。
お母さんもあれから毎日のように泣いていた。


それで、あの日電話がかかってきたんだ。
病院から
森川さんの命が危険な状態なので早く来て下さいって。
何度もかかってきた証拠に履歴が残っていた。


でもお母さんは行かなかった。


そのまま
お父さんは死んだ。
それを告げた最後の電話の履歴も残っていた。



その電話は私が家に帰る前に来ていた。
だからもちろん、出たのはお母さん。
きっと悲しかったんだ。
変わってしまったお父さんのいる病院に
行くことなんて怖くてできなかったんだ。


だから
本物のお父さんがいるところへ行こうって
お母さんはきっとそう考えた。

私に言葉を残して。




「ありがとう、涼香」




二階から飛び降りて自殺した。




一瞬で


たったの一日の間で


私は母も父も亡くした。



更新日:2012-12-17 17:58:06

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