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初めて恋をした日 3

■ U-Know See

他に好きな人がいると、言っていた君が。
どうやら、友達の押しには勝てなかったらしく。
最近は毎朝、友達と、女の子と一緒に、通学するようになって。

君の期待の目を、一度だけ受けて、会釈したら、俺は。
楽しそうな君の姿を、見ていられなくて。
あの笑顔が、俺だけのものなら。そう思いながら。
だけど、無理だな。同じくらい感じる絶望。

せめて、ヒョンになりたかったけど、楽しそうな君を見ていると。
俺といるより、同い年の友達と、いたほうが。
そう思ったら、ご飯でも、なんて言ったくせに、誘えなくなってしまった。
だって結局俺の都合で君をまた、振り回してしまうのだから。

近づいたのに、君をまた遠く感じて。
このままフェイドアウト? その方が、いいのかもしれない。
この想いを、封じ込めて。
心が折れかけたある日。
君から、電話がかかってきた。

もしもし。・・・ユノヒョン。
珍しく、もしもしとも、言わないで。
うん? どうした? ・・・あの、ね。・・・うん。
ご飯、食べに行こうって、言ってくれたでしょ? ・・・うん。
僕、まっ・・・てた、んだ。
その、搾り出すような、一言に。
ああ、チャンミンは、俺のこと、せめて「ヒョン」だって、思ってくれてるんだって、気付いて。
ごめん。最近、忙しくて、いつもこっちの都合になっちゃうから、申し訳なくて。
いいんです、そんなの。僕は予定、ありませんから。
言う君が、本当に、いとおしい。

君が、誰を好きでも、いいんだ。
あの、いつもの切ない目で、甘えた目で、輝く目で。
誰を、狂おしく見つめていても。

そんな君を俺は、すぐ近くで、見つめて・・・愛したい。

兄貴でも、いいじゃないか。君の特別に、なれるなら。
俺をこうして、慕ってくれている。
このまま他人にだって、なれたのに。

本当は、時間なんて、作ろうと思えば、いつだって。
作れるんだ。君のためなら、朝の5分でも、夜の10分でも。

君が会いたいといえば、俺は会いに行くよ。
君が寂しいといえば、ご飯を食べに連れて行ってあげる。
君が涙を、我慢するなら。・・・せめて。
兄貴になって、抱きしめてあげるよ。・・・だから。

勇気が出せない、俺を許してくれ。
君に、必要とされたい。
必要とされたい。

更新日:2013-01-03 21:21:43

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