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叛乱する勇者

 俺は実に運が良いと思う。ンニャがくれた領地内にあった山は活火山で、温泉が出ていたし、さらに言えば、大河も近い事もあって、商業もやりやすい。さらに、となりの領地と間にある岩場は鉱物を含んでいるので即効で手に入れてやった。
 エーリヒはアホだからマコを嗾けたら即OKしてくれたのだ。

「取り敢えず、近隣から種族問わず、集めろ。所謂魔族は、丁重に扱えよ。ンニャに渡すんだから」
「国賊め」

 脇に居たユルヴァが俺を睨む。

「知らんなぁ。俺の国はアレじゃねぇ。
 俺の国はここだ」
「馬鹿言え、ここはエーリヒの領土だろうが」
「準備が整ったら、俺はこれを独立させる。
 いつまでも下らん戦争してるんじゃねーよ、ばか」
「そうは言っても、もう、止められんだろうが、これ。
 戦争ははじめるのは簡単だが、止めるのは難しい。死んだオヤジも言ってた」
「だからって、だらだら戦争続けてんじゃねーよ。文明も進んでねーみたいだし。多分、魔法があるからだろうな」

 そう、この世界には魔法ってイレギュラーがある。魔法は大砲レベルで威力があるし、さらに言えば、一人で戦車レベルの攻撃力があるんだから、堪ったもんじゃねぇ。まぁ、俺の現代兵器をもってすれば、戦車だろうがなんだろうが関係ねぇんだがな。

「取り敢えず、軍備拡張と、戦争捕虜の確保、鍛治屋の確保に医療の充実を優先させにゃな。
 其処等辺はどうなんだ?」
「トルケルとマコがやってるよ。それに、農業改革も、お前の言ったとおりにりんなんとか式って奴を徹底させてる」
「輪栽式農業な。ご苦労。それと領土内にいる人間が1年間食ってるけるだけの量のジャガイモの種芋と小麦の備蓄のは絶対な」
「分かってるって」

 ユルヴァが喧しく言うなと顔を顰める。

「ま、お前の事は信用しているさ」
「そりゃ、どうも。ンじゃ、剣術の訓練だぜ」
「へーへーお手柔らかに」

 木剣を片手に中庭に出る。中庭には様々な人種の人々が居り、エルフやら魔族やらと奴隷だった奴等も居た。全員が弓矢や剣で戦闘訓練をしており、領土から募集した兵士志望の農民どもに剣術を教えている。

「よぉ、やってるな」
「奇人か。剣術を?」

 エルフ達は俺を奇人、奇妙な人と呼ぶ。失礼な奴等だ。

「そうだよ。体鍛えねーと。この前ユルヴァに腕相撲で負けたとか、ありえんだろう」
「お前がもやしなだけだ」
「現代人舐めんな」

 ゴリラ女め。

「イテェ!?なんで蹴りやがった!!」
「お前が何か良からぬ事を考えていたからだ!」

更新日:2013-01-24 09:09:52

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