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勇者の兄ですが、何か?

10万もするエアーガンについて、どう思う?
正確に言えば、10万と3千円だ。
エアーコッキング式のボルトアクション式狙撃銃。
名前を九九式狙撃銃と言う。
今まで貯めてきたお年玉と夏休みと冬休みをバイトに費やし、漸く手に入れたキング・オブ・ボルトアクション式ライフルだ。
そして、家路に急ぐ俺はごく一般的なハンサムイケメン東雲幸也。
強いて違うところを挙げるとすれば、秀才ってところかなー

「お兄ちゃん、顔気持ち悪いよ?」
「き、貴様っ!
お兄ちゃんの何処が気持ち悪いというか!!
こう見えても、学校じゃ、モテモッテなんだからな!?!?」
「うん、でも、気持ち悪いから、ニタニタ笑わないで。
正直、もう少し離れて歩いて欲しいかも」

先生、妹が反抗期です!!

「ねぇ、お兄ちゃん」
「なんだ、妹よ?」
「今日の夕飯何が良い?」

妹、東雲まこが俺を見る。
うん、今日も実に可愛らしい。

「何でも良いよ」
「じゃあ、お兄ちゃんはカップラーメンね」
「あ、肉使った料理で願いします」
「殴るよ?」
「もうやめてマコ!
お兄ちゃんのHPはゼロよ!!」
「あの、もう少し、向こうに言ってくれますか、幸也さん」

うわ、敬語使われた!?!

「お、おーい、まこさん?」
「何ですか、幸也さん?」
「お、お兄ちゃんが悪かったんで、機嫌直してください」

その場で土下座してみる。
時刻は午後4時をちょっと過ぎたところの商店街。
買い物袋を片手に往来するのは夕食材料を買い求めにやって来たおばちゃんたち。
また、よくコロッケをくれる肉屋のおばちゃんや値引きしてくれる八百屋のおっちゃん、矢鱈アジのフライを勧めてくる魚屋のおっさんも居る。
そして、俺はその場で土下座してみる。

「申し訳ございませんでした、まこ様ぁぁ!!!!」
「ちょっ!?
お、お兄ちゃん止めてって!!」

まこが慌てて俺を引き起こそうとするので、さらに額を地面に擦りつける。

「まっこと申し訳ございませんでしたァァ!!!
なのでっ!!
なのでっ!!!
どうぞ、夕飯を抜きにしないで下さい!!!!!
俺が悪ぅ御座いましたァ!!!!!!!」
「おやおや、まこちゃん、そんなイケメンに頭下げられて」
「全くだ!
幸也の坊主、今度は何やったんだ?」

案の定魚屋のおっさんや肉屋のおばちゃんが笑ってこっちを見ている。

「もぅ!!
お兄ちゃん!!!
許したから!!!
許したから頭上げてよぉ!!!
こんな所で恥ずかしいなぁ!!!」
「よし、許して貰ったし、帰るか」

さっと立ち上がり、服の汚れを落とす。

更新日:2012-11-06 21:56:36

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