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第3話「ファーストキス」

「南ー!そこの板とってー!」
『はいはーい』

さて、やってきました。
文化祭シーズンが!!

ちなみにあたしのクラスは、カフェ的なもの。

『いやー・・・疲れる!』

なんて漏らしたばっかりに

「大変だなー、バカまみれだと」

本田の、嫌味発生。

『・・・その言葉、自分の作業を全部終わらせてから言ってほしいなぁ』
「俺、バカには頼りたくないんでね」
『そっかー大変だね!頭よくても性格悪いと!』
「口悪い女子、男人気薄くて苦労すんだろ」
『いいんじゃない?見た目だけで評価されて楽な人生送ってるよりは』
「負け惜しみかな?」
『ごめんねー。残念ながらあんたに惜しむこと、何一つないわー。
 むしろそうならないように努力したいぐらい♪』
「へー?よかった。お前に好かれたらどうしようかと思った」
『その心配は一生する必要ないから安心して!』
「それはありがたい」

二人の間に、大きな亀裂。
わざとらしく微笑んで言い合うけど、明らかに顔が引きつってる。

「・・・南ー、涼くーん?」
『ごめんねー?なんでもないよ。ちょっとお話してた』
「そーそー。ちょっとした世間話」
「は・・・はは・・・」

みんな、あからさまに苦笑い。

「南!ヘルプ!」

うちのクラスでも比較的仲がいい、
藍澤 比奈に呼ばれた。

『ん、どした?』
「このポスター貼りたいんだけど届かなくて」
『あ、貸して?』

比奈が持ってるポスターを受け取って、置かれた机に乗る。

「届きそう?」
『あとちょっと・・・。うわっ』

背伸びしすぎて、バランスを崩した。
やばい・・・落ちる・・・!

「南?!」
「・・・あんのバカっ・・・!」

あの嫌味な声が聞こえた。
ぐんぐんと地面が近づく。

『・・・?!』

ぼすっと、受け止められた。

それと同時に
唇に感じる、不思議な感触。

「・・・!」

足が床について
不思議な感触も消えた。

『なっ・・・なっ・・・』

何今の
何が起こったの
意味不明
何・・・これ。

「お前今・・・」

目の前にいるのは、口元を腕でおおって動揺しまくる本田。

つま・・・り。
あの、あのマンガとかでよくある
キ・・・ス・・・したってこと・・・?!

『そっ・・・そんなバカな・・・』

事故だけど
偶然だけど

アイツと唇を重ねたことに、変わりはない。

勢いがついてたせいで切れた唇が、動かぬ証拠ってやつ。

「いや待て!今のは不可抗力だし事故で・・・」
『・・・ったしの・・・あたしの・・・ファーストキスだったのに・・・!』

そう叫んで、本田の前から走り去った。

ありえない
ファーストキスなんてずっと憧れてたものなのに。

いつか好きな人とするのを夢見てたのに

こんな
大嫌いな奴が相手なんて・・・。

本っ当、意味分かんない!!

更新日:2012-12-21 21:47:26

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